第14話 二度目の配信

 会社の後輩から、妙な動画を見せられた。


 さまざまなうん〇の動画だ。


 これ、まさか宇宙人のじゃないよな?


 後輩はいつもと変わらないし、宇宙人はアカウント停止になっているらしいし、違うよな?


 うん、そうだよな。


 それにしても、変な動画だなぁ。


 これはギャグでやっているのだろうか?


 きっとそうだろうな。


 なら、ツッコミの訓練として、何かコメントしておこうかな。


 『これはただのうん〇だね。食べられないよ』と。


 よし、良いツッコミだな!

 多分!!



 仕事を終え、帰宅した。


「おかえりでごわす、クバリのアニキ」


「ああ、ただいま、ハイテー」


「クバリのアニキ、次のゲームができたでごわすよ」


「ありがとう、ハイテー」


「なら、すぐに配信するざます!!」


「準備できてないから無理ですよ!」


「早くやるざます! 宇宙人が新しいアカウントを作って、配信を始めたざますよ!!」


「ええっ!? そうなんですか!? では、もうブヒャウマになっている人がいるのですか!?」


「いや、まだなってないざます。もっとも、いつなるか分からない状況ざますがね」


「そうですか……」


「というわけで、早く配信するざます!」


「分かりましたよ。では、準備します」


「準備なんて不要ざます! 出たとこ勝負のぷっつけ本番でやるざます!!」


「無茶言わないでくださいよ!? 仕事だってあるんですよ!?」


「クバリ、いまのはボケざますよ!」


「えっ!? どこがですか!?」


「いま神様は『ぷ』っつけ本番と言ったでごわすよ」


「ええっ!? そうなんですか!?」


「その通りざますよ! クバリ、しっかり聞くざます!!」


「分かりましたよ……」


「では、もう一回いくざますよ!」


「ええ…… やらなくていいですよ……」


「ダメざます! これも修行ざます! それじゃあ、いくざますよ! 『出たとこ勝負のぷっつけ本番でやるざます』!!」


「それを言うなら『ぶ』っつけ本番でしょ!?」


「単純すぎるツッコミざますね!」


「はいはい、精進しますよ!」


「ただ、勢いだけはなかなか良かったざますよ! 褒めてやるざます!!」


「ありがとうございます!」



 準備が完了した。


「クバリのアニキ、視聴者は何人来ているでごわすか?」


「また四人だな」


「宣伝の効果は出ていないようでごわすね」


「そうだな。では、始めるとするか」



 アバターが画面中央に表示された。


「当チャンネルにお越しいただきありがとうございます。水入利みずいりシヴィです。よろしくお願いします」


 挨拶をした直後に爆発させた。


 コメント

 g_g:また爆発した!?

 g_to:挨拶、爆発!!

 g_eye:爆発は挨拶なのか!?

 g_e_h:爆発は挨拶の一種!!



 アバターを元に戻した。


「今日もまた、シヴィたちの作ったゲームを配信していこうと思います。これもどこにも売られていないゲームですよ。お楽しみに」


 コメント

 g_g:また何事もなかったかのように進めているだと!?

 g_e_h:やはり爆発は挨拶の一種なのか!!



「え~、今回のゲームは…… おや? 今回もカードゲームのようですね」


 コメント

 g_eye:またカードか

 g_e_h:今度は何をやってくれるんだ?


「今回はこのようなカードを使うようです」


 アバターを画面の右下に寄せ、中央にカードを表示させた。


 赤いカードで、中央に緑色で『残高3ペヘミカエオエオヲワ』と書いてある。


 コメント

 g_g:残高?

 g_to:お金に関係するゲームなのか?

 g_eye:ペヘミカエオエオヲワって、単位なのか?

 g_e_h:妙な単位だな


「いったいどんなゲームなんでしょうかね? それでは始めます」


 ゲームを起動させた。


「タイトルは『マネーバトルカードファイター・スズサキトウ・タシナカミズ』ですか」


 コメント

 g_eye:この間のと、ほぼ同じじゃないか!?

 g_e_h:マネーが追加されただけじゃないか!?

 g_g:またカードという名の粗大ゴミを投げるのか!?

 g_to:冷蔵庫っぽいカード最強なのか!?


「そこはどうなんでしょうかね? では、進めていきます」



 画面に『キャラクターを作成してください』と表示された。


「またキャラメイクができるみたいですね」


 コメント

 g_g:これ、前のヤツの流用だろ

 g_to:実にエコ

 g_eye:スタッフ優秀

 g_e_h:実にできるスタッフだ


「確かに、流用みたいですね。では、キャラクターを作ってみましょう」



 梨の着ぐるみを着ている、筋骨隆々のサングラスをかけたおっさんを作った。


「今回のキャラクターは、これにしましょう。名前は『かね五郎ごろう』にします」


 コメント

 g_e_h:まあ、確かに残高はなかったな

 g_g:こ、これは『なし』と『金無かねなし』をかけた高度なダジャレ!?

 g_to:全然高度じゃないだろ!?

 g_eye:親父ギャグだな



 画面に、またあのキャラクターが映し出された。


 チューリップ柄の鶏とアルマジロのような何かだ。

 アルマジロの上に鶏が乗っている。


 その後ろには、日本の住宅街のようなものが映し出されている。


 コメント

 g_g:完全に流用品じゃないか!?

 g_to:なんというエコ!?

 g_eye:スタッフすごい!

 g_e_h:やはりできるスタッフだな!!



「『バトルカーなんとか』の世界へようこそ」


 鶏のようなキャラクターが、そう言った。

 ウィンドウにも、そう表示された。


 コメント

 g_eye:ボイスまで流用!?

 g_e_h:マネーがないぞ!

 g_g:これはやり直し!

 g_to:タイトルくらいしっかり言ってくれよw


 ちょっとハイテー!?

 流用しすぎじゃないか!?

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