第12話 打ち上げと反省会

「本日の配信は、ここまでとさせていただきます。ご視聴ありがとうございました」


 コメント

 g_g:面白かった

 g_to:お疲れ様

 g_eye:楽しめた

 g_e_h:ここのスタッフはすごかった


 配信を切った。



「クバリのアニキ、お疲れ様でごわす」


「ハイテーもお疲れ様。いろいろとありがとう」


「どういたしましてでごわす」


「ところで、ハイテー」


「なんでごわすか?」


「俺、あんなゲームのアイディア書いたっけ?」


「書いてあったでごわすよ」


「そ、そうなのか……」


 あんなの全然覚えてないぞ!?


 なんであんなゲームを考え付いたんだ、昔の俺!?


 訳が分からなさすぎる!?



「クバリ、ハイテー、お疲れざます!」


「神様、見てくれたんですか?」


「見ていたざますよ! では、打ち上げと反省会をするざます!!」


「ええっ!? いまからですか!? もう寝たいんですけど!?」


「鉄と配信者とエンターテイナーは、熱いうちに打ちまくっておけざますよ!!」


「鉄だけでいいですって!?」


「遠慮するなざます! 容赦なくむちで、ぶったたいてやるざますよ!!」


「鞭で!? やめてくださいよ!?」



「さあ、まずはこれを飲むざます!!」


 俺たちの前に、大ジョッキが現れた。


 そこには、醤油しょうゆラーメンのスープみたいな黒っぽい液体がなみなみと入っていた。


「なんですか、これは?」


「『焼き肉ビールラーメン聖水』ざます!!」


「なんですか、その訳の分からんものは!?」


「名前通りのものざますよ!」


「ええっ!? 焼き肉とビールとラーメンが入った聖水なんですか!?」


 すさまじく不味まずそうだな!?


「違うざます! 飲むと、焼き肉とビールとラーメンを食べた気分になる聖水ざます!!」


「えええええっ!?」


 なんだその無茶苦茶なものは!?


「美味しいうえに、健康にも良いざますよ!」


 焼き肉とビールとラーメンで健康に良いの!?


「本当なんですか!?」


「本当ざますよ!!」


 ええ……



「さあ、飲むざます!!」


「では、いただきますでごわす」


 ハイテーが焼き肉ビールラーメン聖水を飲んだ。


 よく躊躇ちゅうちょなく飲めるなぁ。


「おおっ、この聖水もうまいでごわす!」


 うまいのかよ!?


「さあ、クバリも飲むざます!」


「わ、分かりましたよ…… では、いただきます」


 焼き肉ビールラーメン聖水を飲んでみた。


 本当に焼き肉とビールとラーメンを食べたような気分になった。


 さすがは神の聖水、訳が分からなさすぎる……



「では、次は反省会をするざますよ!」


「初めてにしては、それなりにうまくやれましたよね?」


「やれていたと思うでごわす」


「確かに、それなりには楽しめたざますよ!」


「それは良かった」


「ただ、それはハイテーのゲームのおかげざます! クバリのトークは、まだまだざます!!」


「うっ、そ、そうですね…… そこは精進しますよ」


「ただ、最初にアバターを爆発させたのは良かったざますよ!」


「ありがとうございます」



「では、これから二回目の配信をするざます!!」


「無茶言わないでくださいよ!? 明日は仕事があるんですよ!?」


「正確には今日でごわすよ」


「あっ、確かに日付が変わっているな」


「なら、今日もやるざます!!」


「今日も明日も仕事なので無理ですって!」


「ああ、クバリのせいで地球人がブヒャウマになってしまうざます!!」


「それは宇宙人のせいでしょ!?」


「まあ、いいざます! どうせ困るのは地球人ざます!!」


「ひどいですよ、神様!?」


「助かりたいなら、早く次の配信をするざますよ!」


「はいはい、分かりましたよ!」


「では、私ちゃんは帰るざます! サラダをビュッフェスタイルで提供する方式ざます!!」


「それ、気に入ったんですか!?」



「じゃあ、寝るとするか」


「クバリのアニキ、今回の配信の切り抜き動画を作るでごわすか?」


「ああ、切り抜きか。じゃあ、頼めるか?」


「了解でごわす。それから、SNSで宣伝もしておくでごわすよ」


「ああ、ありがとう、ハイテー」


 頼りになりすぎる。



「クバリのアニキ、切り抜き動画ができたでごわすよ」


「ありがとう、ハイテー。じゃあ、さっそく見せてもらおうかな」


「どうぞでごわす」



 モニターを見てみた。


 『謎の盛りすぎ配信者、新たな動画配信プラットフォームに現る』

 『いきなり爆発して再生する謎の新人配信者』

 『究極に洗練された何かに驚く謎の新人配信者と視聴者』

 『謎のカードゲームをする謎の新人配信者』

 『見えないコマーシャルに驚愕きょうがくする謎の新人配信者』

 『タイトルを覚えてない謎のキャラクターにツッコミまくる視聴者』

 『カードの使い方に驚く視聴者』

 『謎のカードに困惑しまくる視聴者』


 という短い動画があった。


「こんなにたくさん作ってくれたのか。お疲れ様、ハイテー」


「マッスルコンピューターなら、この程度、造作もないでごわすよ」


「そうなのか。すごいな、マッスルコンピューター」



「再生数は、どれもゼロだな」


「出来立てでごわすから、仕方ないでごわすよ」


「ライブ配信の方も増えてないか…… SNSの方はどうだ?」


「まだ全然でごわすよ」


「そうか……」


「まあ、焦っても仕方ないでごわすよ」


「ああ、そうだな」


 次の配信もがんばるとしようか。

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