根いでぃ乞うる

エリー.ファー

根いでぃ乞うる

 忘れていく自分自身。

 涙声から始まる物語は捨て去ってしまった。

 哀れだ。

 悲しみだ。

 優遇してはいけない。

 君は世界を知らなければならない。

 いいかい。

 君には幾つかの世界がある。

 すべてを愛してくれ。

 重要な世界なんてものはないんだ。

 いいかい。

 君と僕には嘘がある。

 いいかい。

 君には千の自由がある。

 目を瞑るな。

 このままずっと。

 もっと。

 もっと歩いていこう。

 走るな。

 涙を味わうような道ではない。

 君と僕で作り出した奇跡ではないか。

 これは、物語だろうか。

 いや。

 物語だったものだ。

 断片こそが世界を創り上げるのだ。

 神の裏には闇が潜んでいる。


「密やかな夢よ」

「煩わしさに風を」

「さようなら、神々よ」

「鈴の鳴る音よ」

「抽象的な世界」

「黒いスーツに白い悪意を込めて」

「月光の無色透明」

「権力に君の影を」

「さようなら、僕と君の間に見えた世界」

「白い嘘」

「真っ赤な真」

「カメラ」

「純粋な勝負から始まる言葉の合わせ技」

「文字数によって飛び出てきた人生訓」

「どうしても、助けてもらえない」

「変わりたい思いだけが、潰れてしまう」

「薔薇の唄」

「時計の音を聞く前に死ぬ老人たち」





 もしも、もしも、ですよ。

 僕がここで死んでしまっても、お墓は妹の近くに作って下さい。

 別のその下に僕がいなくたっていいんです。

 心が、妹の近くを求めているんです。

 えぇ。

 妹は、随分前に亡くなりました。

 夏休みのプールで、溺れたんです。

 何故、死んでしまったのか。

 今でも、わかりません。

 あぁ。

 きっと、僕が死んだ理由も。

 誰も分からないんでしょうね。

 そういう意味で言えば、僕は妹のより近くに行けるのかもしれませんね。

 妹の顔なんて、もう思い出せないけど。

 妹と一緒にいた時間が大事だって思い込めるくらいに、僕は妹と生きていたかったです。

 ごめんな。

 にいちゃんは、お前の仇を討てなかったよ。




「死が近くなってもいいのだ」

「闇に染まってもいいのだ」

「光が消え去ってもいいのだ」

「空を見せてくれ」

「壁の中で見せてくれ」

「海の中を見せてくれ」

「窓を開いて、そして、静かに死のう」



「才能はありますか」

「挑発しないでくれ」

「アルファベットやノーベルが住んでいる街です」

「所得と絵本の呪いであると思っています」

「人生相談をさせて下さい、お願いします」




 このままずっと空を見つめていたい。

 このまま君と夢を見ていたい。

 このまま扉を開けていたい。

 このまま草木を枯らしてしまいたい。

 このまま家を燃やしてしまいたい。

 このまま検索を続けていたい。

 このまま寿司職人であり続けたい。

 このまま取っていたい。

 このまま撮っていたい。

 このまま採っていたい。

 このまま眠っていたい。

 情報を頂けますか。

 僕のために。

 そう。

 僕だけのために。

 いかがですか。

 あふれ出る才能のために。




「黒く濡れる」

「白く染まれる」

「黄色く笑う」

「赤く落ちる」

「青く凍る」

「淡く眠る」




「私には、世界を守る義務がある」

「何もかも作り出すための明日がある」

「未来の話をやめましょう」

「今です。今から始めましょう。スタートするべきなんです」

「瞼の裏に見えるのは、僕たちが愛すべき太陽でした」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

根いでぃ乞うる エリー.ファー @eri-far-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ