第3話 チケットとれたよ

「ただいま」

玄関からコドオの声が聞こえた。やばい、ゲームしてる場合やない。

ご飯の仕上げしなきゃ。慌ててキッチンに立つ。

リビングのドアを開けながら

「チケットとれたよ」

とコドオは、平静な顔、でも声が嬉しそうだ。

「そうなんや。良かった」

「ほら、これ見て、面白いバーコードやろ」

携帯をポケットからだすと画面を操作して差し出す

画面の中にはたくさんの四角い枠と英語が並んでいた

「ほら、ってオカンの老眼でこんなちっこい文字見えると思うか?」

ご飯の支度してますよアピールの濡れた手で答える。

「だ・か・ら、バーコードの形やて」

「あ、ほんまや」

何本もの太い線、細い線にはさまれた砂嵐のような見たことのないバーコードだった。

「お国が変わるといろいろやな」

「うん。せやろ」

とうなずくコドオ。

何故おまえがドヤ顔や。

「オカンのパスポートは、どんな感じ」

「通常通り1週間でとれるよ」

「ほな、パスポートがとれたらETAやな」

「ETAってなんや?」

「オーストラリアの電子ビザや。

携帯で取れんねん」

「へぇぇ。便利やな」

なんか、コドオが賢い事を言っているようでちょっと嬉しい。

「うん。けどパスポート番号がいるから、今日は、現地の参加ツアーでも見よか。

グレートバリアリーフとか行きたいやろ」

「その前に泊まるホテル押さえなあかんのちゃう?」

「それもそうや」

「ま、その前に着替えてご飯食べや」

「うん」

晩御飯を食べながら、さっき聞きそびれたグレートバリアリーフについて教えてもらおうとわくわくした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る