家にいたら忍者が入ってきて巻き込まれた!
ガッツYY
第零話 日本によく似た世界
ピーポーピーポーと大きな音を立てて救急車が俺の近くに止まる。
……うるさいなぁ…静かにしてくれよ…。眠れないじゃないか。
あれ……俺、なんで道端で倒れてんだ?確か、本を買いに来て外に出て……あぁ、目の前から来るトラックを避けきれずに轢かれたんだっけ……?
「だ……!うごけ……す……!」
所々途切れていてよく聞こえない。
頭から段々と温かいものが抜けていくのが分かる。生温かいものが抜けていく…あぁ。分かった。
……俺、死ぬのか。
想像してたよりも、死ぬのって怖くないもんだな。骨折してもあまり痛くない…とかの理論と同じなのか?
知らないんだけどね。
「は…せ………か!」
あ〜、なんて言ってるのか聞こえません…。すみません、もう駄目らしいんで……
あ〜あ…どうせなら願い事の一つや二つ、叶って欲しかったなぁ〜。
恋人とか作りたかったし、まだまだ明るい未来とかあっただろうし。完結してない漫画もあるし……
もしも願いが叶うなら……そん時はそうだな。
異世界転生してみてぇ……
■
「どこだ……ここ……?」
目の前を車がよぎる。あぶね。
なんだここ?日本?っていうかなんで俺生きてるんだ?
「おい邪魔だよ!どけよ!」
「あ、すみません」
歩いている人に怒られてしまった。家に帰ろ…。いやいや…そうじゃなくてな?
待て、一旦整理しよう。
俺は
瞬間に、とある言葉を思い出した。
『もしも願いが叶うなら……そん時はそうだな。異世界転生してみてぇ……』
あれか?あれがまさかの叶ったってのか?最後の最後で?
じゃあ、ここって異世界ってこと!?
いや、じゃあ、車があるってのはどういう事だ?普通異世界って馬車とかで移動とか、魔法を使って瞬間移動する……とかじゃ……
近くを歩いていた人に駆け寄って声をかけた。
「すみません、ここってどこですか?」
「どこって……ここは東京よ?」
東……京!?え、トウキョウ?とうきょう?東京ってあのTokyo?
え、あの…皇居のある……?
「そ、そうですか…」
「どうしたの?迷子?」
「い、いえ……」
……え、転生は転生でも、日本に似た世界に転生したってこと…?
「え、え……ええええええええっ!!?」
【悲報】俺氏、第2の人生、あんまり変わってないについて
えぇ……嘘やろ。こんな、こんなことって……もしかしたら俺もラノベの主人公みたいに活躍できると思ったのに……
いや待て!転生特典!転生特典は何?転生したらなんか、有利に働くものがあるはず!
「なにか、なにか……!」
しばらく走ったりとか木にしがみついて上に持ち上げようとしてみたりしてみる。
そして、夕暮れになった。
「もう…もうどうしろってんだよ…」
……体力もない。筋力もない。家もない。転生してきたから友達もいない。
あ〜俺こんな人生やだ〜……って歌ってる場合じゃねぇんだよなぁ……
「ほんとにどうしよう…そうだ!」
お金!お金さえあれば人間何とかなるはず!
「……500円…?たった500円?ワンコインのみ?これでどうしろと?」
尻ポケットに入っていた500円玉を見つめる。
……とにかく、いまは腹を満たそう。考えるのはそれからだ。
近場のコンビニに寄って、なんとか500円で飲み物と食べ物(まぁ、お菓子だが)を買えた。
「近くに公園……あったわ」
コンビニの近くに公園があって助かった。ここならなんとか夜過ごせるだろ。
ベンチに座って早速食べ物の袋を開けて口に入れようと…………した瞬間だ。視線を感じる。どこからか、見られてる。
「…俺の転生特典って第六感が芽生えるってこと?」
近くを見回すと、ブランコで1人、ぽつんと座っている女の子が見えた。
俺と同年齢ぐらいだろうか?まるで忍者が…というか、女性だからくノ一か。
くノ一が着てそうな服を着てこちらを見ていた。
なんだ?コスプレイヤーかなにかか?それとも家出してきたとか?
……どちらにせよ食いづらい。
「……食う?」
それを言った瞬間。
その女の子は勢いよく俺、というより手に持っている食べ物に飛びかかってきた!
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