歪に戻る

うるえ

歪に歪んでいたそれは夢のよう

一方ではわたしは狂っていて、歪んでいた。

衝動にまかせて理性など欠片もなくて、笑いたい時に笑ったし叫びたい時に叫んだ。

わたしはわたしのままに生きていた。


一方ではわたしの狂っていない世界線だった。

それはあまりに奇妙な気がした。全てに気を使い、やりたいことが出来るのも一瞬だった。

稀に現れる「理解者」という名の束縛者にわたしの本来の姿を垣間見せるとどの「理解者」も口を揃えてこう言った。

「ちょっとそれは変だからやめた方がいいよ」


あまりにも淡々と進んでゆく時間と景色のなかで

歪んだ景色と進まない時間が懐かしくなった。


だから戻りたくなった。

だからわたしは飛び降りた。ようやく好きなことができた時、わたしは終わった。

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歪に戻る うるえ @Fumino319

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