恋愛迷走中♡

ふゆなち

第1話 幼馴染の彼 

私、麻木友梨あさき ゆりには、同じ14歳の幼馴染がいる。

優しくてカッコ可愛い彼、神無月かんなづき律輝りつきは完璧な顔立ちから学校では女子に人気だ。

(まぁ、私はそんなこと思わないけど)

「友梨、おはよう。」

律輝は私の少し前で立ち止まって言った。

「おはよう律輝。先行ってていいよ。私、今日は瑠海るみと一緒に行くから」

瑠海っていうのは小学生のときに知り合った私の親友。

「……瑠海とそんな約束してないでしょ?」

「確かにしてないけど…」

「なら、二人で学校に行こう?」

二人の部分を強調してくる律輝。

私が立ち止まって悩んでいると、すっと目の前に律輝のきれいな手が差し出された。

(この様子からして手をつなげと言っているのか?)

瑠海大丈夫かなとかつぶやきながら私は差し出されたその手に手を重ねた。


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「おっはよ~友梨〜」

「おはよう」

学校についてしばらくすると瑠海が学校に来て私に笑顔で話しかけてくる。

(ごめんね、瑠海…)

朝のことで私は少し罪悪感を感じた。

「ほんっと、この席サイコー!」

瑠海が私の目の前に来て、嬉しそうに言った。

今の私の席は、私の右隣に瑠海がいて左隣に律輝がいるというめちゃくちゃサイコーな席だ。

「私は瑠海よりも最高かな」

「…律輝が隣だから?律輝が隣で嬉しいの?」

「え?う、うん」

(なんでそんなこと聞くんだろう?

幼馴染が隣の席にくるのは嬉しいものだよね?)

「…ふぅん、嬉しいんだ」

瑠海は律輝の方を見て少し残念そうに言った。

(どうしたんだろう…?)

「友梨、宿題見せて」

律輝がそう言って机をくっつけてきた。

「はぁ、しょうがないなぁ」

「ありがと」

私は自分のノートをペラペラめくる。

その姿をじーっと見ていた瑠海は、つまんなそうに自分の席へと戻っていった。

最近、こういったことが増えた気がする…。

(どうしたんだろう、瑠海…)


その後律輝は無事宿題を終わらせて、いつも通りの授業が始まった。


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チャイムがなって、放課後になった。

帰ろうと思った時───

「麻木ー!ちょっと来い」

「は、はい…!」

先生に呼び出されて私はおずおずと先生の方へと向かう。

「これを生徒会室に持って行ってくれないか?」

先生は資料を私に見せてきた。

「は、はい。わかりました」

「よし、頼んだぞ!」

私は、はぁ、とため息をついて教室を出た。

(なんで私が…)

複雑な気持ちで渡り廊下の方に向かう。

(えーっと確か、生徒会室は別校舎だったよね…)

別校舎につくとすぐ「生徒会室」と書いてある教室を見つけた。

ノックをして扉を開ける。

「失礼しま~す……」

中をキョロキョロ見渡す。

中には私と同じくらいの身長でかわいい顔をした男の子が座って私の方を見ていた。

彼は立ち上がると私の方まで来た。

「は~い、どうしたの〜?」

「この資料、先生に渡すように言われて…」

「あ~、それね。わかった。ありがとう」

「じゃあ、これで…。失礼しました」

「ばいば~い」

彼は手を振ってくれたので私も一応手を振り返した。


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「資料、渡してきました」

「助かった。ありがとう」

先生はニッコリしてそう言ってくれた。

「で、麻木も見てわかったと思うが今、生徒会に入っているのは一人だけなんだ」

(そういえばひとりしかいなかったな…)

「それで首席の麻木に生徒会に入ってもらおうと思ってな!」

がはははははっと先生が笑う。

(先生、笑い事じゃないですよ!)

私がなんて言おうかと迷っていると先生が、

「そう悩むのもわかる。だけど、成績も上がるし、やってみないか?」

なんて言ってきた。

先生が、お願いだ!と言ってくるので断れなくなる。

「す、少し考えてみます」

「よし!じゃあ、来週に答えを聞かせてくれ!」

「はい…」

(はぁ、面倒くさい事になったなぁ…)

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