【定期更新】逆異世界転生 ダンジョンが出現したらその影響で世界が滅亡するかもしれないので、対抗策の一つとして異世界の魔王に転生してもらいました

ゆーとちん

0章 決着

プロローグ

 魔王の住む魔王城の最上階、世界の行く末を左右する大きな戦いが今行われていた。

魔王討伐を掲げて乗り込んできた勇者一行は魔王率いる魔王軍との戦闘によりどちらも既に満身創痍である。


 激しい戦いによって魔王軍や四天王は床に倒れ、魔王も片目片腕を失い至る所から血を流していた。

対する勇者一行も勇者と並び立つ戦闘能力を持つ武闘家が両腕と片足を失っており、魔法においては勇者をも凌駕する賢者が杖を壊され魔力も尽きていた。


 二人を死なせない様に聖女は絶えず回復魔法を使用しているので魔王と対峙する勇者に支援は出来無い。

なので勇者一行も残るは勇者のみと言った状況だ。


 その勇者も魔王や魔王軍との戦闘によって傷付き、身体の至る所から血を流し、魔力も残り僅かである。

相棒である聖剣も激しい戦いによってところどころ欠けており、いつ折れてもおかしくはない。


 対峙する魔王と勇者は次の攻撃で全てが決まると予感した。

魔王は片腕に膨大な魔力を集め、身の丈を遥かに上回る特大の火球を生み出す。

勇者は聖剣に残る魔力を全て注ぎ、刀身を魔力によるオーラで覆う事で強化する。


 お互いに残る力を全て使った全力の一撃である。

先に動いたのは勇者だ、聖剣を構えて魔王に迫る。

魔王は迫り来る勇者を焼き滅ぼす為に特大の火球を放った。


 その火球の大きさは今の疲労し切った状態では回避が難しく、聖剣で受けるしか選択肢は無い。

魔王の全力の魔法を斬れるか不安ではあったが、勇者は覚悟を決めて火球に向かって聖剣を振り下ろした。


 聖剣と火球は拮抗して、魔力と火花が散って辺りを破壊する。

このままでは火球が爆発して皆焼け死ぬのも時間の問題である。


 勇者は使用後の反動を恐れて使用を躊躇っていた限界突破のスキルを発動する事にした。

これは一定時間自身の力を飛躍的に高める代わりに、効果が切れてから暫くの間身体を激痛が支配して動く事もままならない状態にすると言うものだ。


 その痛みは前にも味わった事があり、2度と使わないと決めていたくらいには地獄の様な苦しみだった。

しかし使わなければ死ぬのなら迷ってはいられない。


 限界突破のスキルを発動した事により勇者の身体と聖剣が金色のオーラに包まれる。

拮抗していた火球もそのおかげであっさりと両断して霧散させる事が出来た。

そしてそのまま驚く魔王の腹に勇者は聖剣を突き刺した。

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