『なんでも!探偵部』
ぬヌ
プロローグ
―――物事の始まりというものは、何の脈絡もないところから、突如舞い込んでくるものだ。
だからきっと、この物語は偶然で始まり、
数奇な運命を辿り、
いつかの終末へと収束していく。
やがてそれらは記憶と成り、思い出として仕舞い込み……
―――そして、悔根の想いすら抱いてしまうような輝きに成る。
これは、とある少年の思い出の話。
『偶然』に始まり、そして『必然』に終わった。
―――青色の物語である。
第???話―――――『記憶』
―――『ここに千本目の薔薇が咲いた時、君は世界で一番幸せになる。』
いつか、誰かはそう云った。
『……世界で、一番?』
目の前に広がるのは、草木一本も生えていない茶色い土を埋めただけの大きな庭だ。
まだ真っさらで、これから芽吹くための種を、ただ落とされる時を待ち続けている。
『そう―――世界で一番だ。』
その人は笑っていた。
それはまるで、全ての景色をその瞳に収め、この世の総てを知った神様のような、朗らかで優しい微笑みだった。
『―――これから君に【時間】をあげる。』
その人は手を差し伸べてくる。
重ねると、暖かい感触が手のひらを伝ってくる。
『……それをどのように使うか、それは全部君次第だけど。』
穏やかな声音が、撫でるように耳朶を震わせる。
『―――誰かの思い出の中で、ずっと生き続けられるような人になって欲しいな。』
どこまでも果てしないような、そんな誰かの目線は最後、ゆっくりとこちらに向けられていた。
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