【完結】魔力なしの役立たずだとパーティを追放されたんだけど、実は次の約束があんだよね〜〜なので今更戻って来いとか言われても知らんがな、そっちは勝手にハーレムで修羅場っててくれ〜〜
01.魔力なしだからとパーティ追放されました
【完結】魔力なしの役立たずだとパーティを追放されたんだけど、実は次の約束があんだよね〜〜なので今更戻って来いとか言われても知らんがな、そっちは勝手にハーレムで修羅場っててくれ〜〜
杜野秋人
01.魔力なしだからとパーティ追放されました
「おいレイク、話がある」
リーダーの戦士ソティンに呼び出されて、何事かとついて行ってみれば。
「役立たずのオメェはもう用済みだ。さっさと荷物まとめて出て行きやがれ」
「いや役立たずて」
「役立たずだろうが。この“魔力なし”が」
レイクやソティンたちが生きている
けれど人類の中で
ちなみに
なお一般的には、“魔力なし”だからといって差別されることはない。十人にひとり程度いるものだから特段珍しいわけでもないし、魔術が使えないだけで肉体的、精神的には他の大多数の人々と何ら変わらないので、特に問題視されないのだ。
ただ、中にはこのソティンのように、魔力なしの人間を見下すような連中もいる。ソティンは特にプライドが高く、
「お前、まだ
「お前、じゃねえ!リーダーと呼べといつも言ってるだろうが!だいたいお前、俺様の子分のくせして生意気な⸺」
「その子分で魔力なしの俺の手を引いて田舎から連れ出して、一緒に“雷竜の咆哮”を立ち上げてここまで名を売ってきたくせに、今更何言ってんだ」
「うるせえ黙れ!せっかくあんな田舎から連れ出してやったのに、感謝もしないわ文句は言うわ」
「当たり前だろ。俺はあの集落で暮らすつもりだったんだから」
「おまけになんだ、この
ソティンが放り出した書類に、さすがにレイクも眉を寄せる。
「……これはお前、使途不明金じゃなくて事前調査費だ」
「なんの事前調査だ!そういう名目でお前がくすねてるんだろうが!」
「バカ言うな。受けたクエストの行路の確認とか事前の情報収集とか危険排除とか色々」
「そんなの信用できるか!」
頭ごなしにそう言われて、さすがにレイクが鼻白む。黙ってしまった彼を見て、ソティンがニヤリと嗤う。
「言い訳もできねえってことは、やっぱり
「いや、待て、違⸺」
「もういい!ただでさえ“魔力なし”の役立たずのくせに、パーティの資金まで横領していたお前をリーダーとして許すことはできない!よってレイク、お前を“雷竜の咆哮”から追放する!」
どうやらもう、レイクが何を言おうと追放は決定事項のようだ。そうと悟って、レイクは内心でため息をつくしかない。
「それにだ、新たに優秀な
小さな集落で物心ついた頃からずっと一緒に育ってきて、村を出てからもふたりで頑張ってきたレイクとソティン。一緒に頑張ってきた、はずだった。
だがひとつ歳上で、いつでも兄貴風を吹かせてきた彼にそこまで言われて、レイクはキレた。
ソティンはそれまで黙って傍らに控えていたピンクの髪の可憐な少女の腰を抱き寄せて、得意げな顔をする。
「最後に紹介だけしてやる。新たに加入する探索者のイオスだ。お前と違って魔術も使えるし、戦闘の補助も得意だそうだ。ちょうど、前に加わっていたパーティが解散することになって⸺」
「ああ、そうかよ」
ソティンが鼻の下を伸ばしつつ少女探索者の紹介を続けていたが、レイクはもう聞いていなかった。
「分かった、んじゃ出ていくわ。今まで世話になったな」
「⸺まあ、だが、お前だってそんな急に行く宛もないだろう⸺」
「私物は持っていくけど、パーティの共有財産は置いてってやる。それでいいだろ?」
「⸺今ここでドゲザして泣いて詫びるなら、特別に残留を認めてやらんでも⸺」
「じゃ、今まで世話になった。あとは達者で頑張れよ。じゃあな!」
ソティンが何か長々と喋っていたが、レイクは構わずに部屋を出て扉を閉めた。バタン。
そしてその音で、ようやくソティンが気付く。
「まあ俺様は優しいからな⸺ってあれ?」
「リーダー?あの人ならもう出て行っちゃいましたよぉ?」
「…………は?」
そして抱き寄せるままに自分にしなだれかかってくる、冒険者とも思えない可憐な少女イオスの言葉で、ようやくソティンは目の前からレイクが居なくなっていることに気付いたのだった。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
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