救抜

僕は君を救おうとした

君が行き先も知らずに歩くその闇路は、無限に開かれた残酷な視線の竹を隠した穴に続いている

その闇路に梯子を架けて、光の道に進もうとしている僕といっしょに天からのマナを食べてほしかった

そうすれば君の息は充実した軽さで細やかな光の粒を吐き出しただろう

近代のハチミツが君にはそんなに甘いのか 甘いのか

君の優しさが君の根底にあるならば、君の欲望は偶像の黄昏に君を罪に定める

自分の力だけで叛逆しなければ生存をも許されない残酷な文明の秋に

君は回帰線を越えることなく、ただ怒りの炎だけで迫り来る冬を凌ごうとする

僕はこれまでの人生の一切の失敗を悟った

弱さの中にある強さなど誰一人として注文していなかったのだ

不信の切断と、信頼の接続が、人を、強くする

信頼していいのは使い慣れた道具の、その使い方のほうだ

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