ざまぁを果たした美少女が転校してきたが、どうやら過去のことを悔いているようなので励ましたらその子と周りが病んだ

何かが欠けた日２

「へぇ～二人で屋上でお昼ご飯かい。それは何ともロマンティックなことだ」

「......」

Uターンをするのに失敗し、千宮司先輩に捕まってしまった。

「そういえば今日は桐生君が来ていないみたいだけど、彼女はどうしたんだい」

「それは」

「今日から響ちゃんは休学するようです」

俺が答える前に衣珠季が素早く答える。

やっぱり響も衣珠季も千宮司先輩には冷たく接する。

「あの桐生君が休学ね。それはちょっと困ったなぁ～」

「何が困るんですか」

「桐生君が来ないと生徒会業務を全部私一人ですることになっちゃうんだよなぁ～。誰か心優しい後輩が桐生君の代わりに手伝ってくれないかなぁ～」

「......」

要約すると、俺に業務をこなせっていうことだろ。

「それはおかしいですね。今はテスト期間なので生徒会活動はないはずでは？」

「ん？あーそうだよ。私が言っているのはテスト期間が終わってからのことだ。あ、そういえば休学ってことは桐生君、テストはどうするんだろう。まさか全教科０点というわけにもいかないだろうしさ」

確かにそれは俺も疑問に思っていた。

もし俺が当日熱で全教科０点になったとしてもまだ笑い話で済む。

だがそれが響となったらシャレにならない。

響自身の成績が大幅に下がるのもそうだが、うちのクラスの平均点は響に支えられているため、その響が０点なんか取ったらクラスの平均点は本当に赤点になるかもしれない。

「それよりも先輩、先輩はなぜ屋上にいるんです？客観的に見て先輩が私たちの会話をどこかで盗み聞きしていたか、ずっとスートーキングしていたとしか思えません」

流石にストーキングはないと思うが。

「それは誤解だ。私がこうして屋上で君たちと鉢合わせになったのはただの偶然だよ。私はいつも屋上で昼食をとっているのだから」

「一人で屋上で昼食を食べているんですか？それはちょっとおかしな話ですね。そんな虚しいことを本当にする人がいるとは思えません」

「君、さては前の高校では陽キャの類だったのだろう。君みたいな友達が多い子には私や月城君みたいな陰キャは想像できないだろうね」

なんで俺も友達いない設定なんだよ。

事実そうだが。

「いえ、都斗には友達はいなくても恋人はいます」

「！？」

「ほう、その恋人というのは君のことかな」

「そうです。私たちはれっきとしたカップルです」

嬉しい言葉だが、そんな堂々と言われると照れる。

「なるほどなるほど。つまりここに来たのは恋人と二人きりでお昼ご飯を食べたかったからか」

「そうです。だから先輩。ここは大人しく屋上から出て行ってください」

「衣珠季、それはさすがに」

「なんで生徒会長である私が君に従わないといけないのかな」

まずい、このままじゃ二人ともヒートアップしてしまう。

「と、とりあえず早く食べよう衣珠季！衣珠季の弁当が早く食べたくてしょうがないんだ！」

そう言って、先輩と衣珠季の間に入り、無理やり衣珠季の体を先輩から遠ざける。

「そ、そうだね。私も早く自慢の弁当を都斗に食べてほしいし」

二人で先輩から少し離れたところに座り、弁当箱を開ける。

今日は目玉焼き弁当だ。

「つれないな。私も混ぜてくれよ」

千宮司先輩が無理やり割り込んで来ようとする」

「ちょ、ちょっと先輩！？」

「へぇ～目玉焼き弁当か。なかなかおいしそうだね」

「千宮司先輩、それは私が都斗のために作ってきたものです。早く顔をどけてください」

「かたいこと言わずに一口ぐらい譲ってくれたっていいだろ」

そう言うと先輩はほんとにスプーンで、目玉焼きの卵の部分と白飯を少しえぐり、口に運んだ。

「「！？」」

この行動には俺も衣珠季も驚かないことはできなかった。

「これはかなりの美味だな。夜桜君は料理が上手いのか。ほら、月城君も食べてみろ」

「は、はい」

先輩の神津に唖然としながらも、俺も白飯とベーコンを口に運ぶ。

「！？」

これは美味い！

普通にファミレスの卵料理よりも美味い！

「その顔は美味しかったということかな？」

「い、衣珠季、これ、全部自分で作ったのか...？」

「う、うん。朝早く起きて」

これを自分だけで作ったとなれば衣珠季の料理の腕は相当だ。

「ところで月城君」

「はい、なんですか」

「この夜桜君の弁当と依然私が君だけに作った弁当とどっちが美味しかった」

「...は？」

ちょ、今それをここで言う！？

や、やばい。だんだん夜桜の表情が険しくなってきている。

「そんなこと初耳なんだけど」

「そりゃそうだよ。夜桜君に内緒で以前私と都斗君だけで学校デートをしたんだからさ」

「が、学校デート！？」

ちょっと待て、その言い方はいろいろと語弊があるぞ！

「どういうこと？都斗」

「えーっと...」

...これはちょっと下校遅れるな。