岡山駅前鬼退治ツアー 御一行様

小波ここな

さらば! 岡山駅前鬼退治ツアー 御一行様

 毎年繰り広げられている鬼の子々孫々ししそんそんによる踊り行列の祭典があった。

 これにごうをにやした自称桃太郎の子孫を名乗るだけの関係が実はないじい様とばあ様の軍団がいた。

 じい様の中でもとくにじい様である岡山太郎エ門は自分のまごたちに鬼退治を命じた。

 5人の孫たちはひまじんと呼ばれているエリートで、その中でも最もひまじんな孫レッドは岡山駅前鬼退治ツアーを企画し、孫ブルー、孫イエロー、孫グリーン、孫ピンクを誘って鬼を討伐とうばつしようとたくらんだ。

 岡山太郎エ門はおおいに喜び、岡山駅前鬼退治ツアー 御一行様ごいっこうさまに天下一の吉備団子魔法きびだんごまほうとなんでも切れる刀を一本手渡した。


 岡山駅前鬼退治ツアー 御一行様は早速8月19日と20日に行われている鬼の大行進に向かっていさんで出かけていった。


「ちょいとそこのひまじんさん」

 一匹の犬が岡山駅前鬼退治ツアー 御一行様に声をかけてきた。


「ぼくも鬼退治につきあうから天下一の吉備団子魔法を教えておくれよ」


「何をいうかと思えば犬めが。天下一の吉備団子魔法はそうやすやすと教えてはやれん。何か芸ができれば教えてやらんこともない」

 孫レッドが犬に言いました。


「芸はできないけどぼくはプロのカメラマンだよ」


「ならば天下一の吉備団子魔法を教えてやろう。ついでにカメラを持ってついてまいれ」


 こうして犬が仲間に加わりました。


 しばらく歩いていると今度は猿があらわれて言いました。

「ちょいとそこいくひまじんさん。ぼくも鬼退治につきあってやるから天下一の吉備団子魔法を教えておくれよ」


「何をいうかと思えば猿めが。天下一の吉備団子魔法はそうやすやすと教えてはやれん。何か芸ができれば教えてやらんこともない」

 孫グリーンが猿に言いました。


「芸はできないけどぼくはプロのメイクアップアーティストだよ」


「ならば天下一の吉備団子魔法を教えてやろう。ついでに道中ついてまいれ」


 こうして猿が仲間に加わりました。


 もう少しで岡山駅前につくところで鬼のお囃子はやしがきこえてきました。

 そして一羽のキジがあらわれて言いました。


「ちょいとそこいくひまじんさん。わたしも鬼退治につきあってあげるから天下一の吉備団子魔法を教えてちょうだいな」


「地味な羽根の色かと思えばメスのキジめが。天下一の吉備団子魔法はそうやすやすと教えてはやれないわ。何か芸ができそうにないけど大丈夫かしら?」

 孫ピンクがキジに嫌味いやみを言いました。


「芸はできないけどわたしは刀の剣術師範よ」


「ならば天下一の吉備団子魔法と刀をあなたにあげるわ。ついていらっしゃい」


 岡山駅前鬼退治ツアー 御一行様は岡山駅前にたどりついた。そこには鬼たちがきれいな着物を身にまといお囃子にあわせて踊りをおどっていた。


「よし鬼退治開始だ! 犬はカメラを回せ! 猿はおれたちにメイクを施しはなやかにしてくれ! キジは刀で鬼たちを威嚇いかくするんだ!」

 孫イエローが犬、猿、キジに言いました。


「ちょっとその前に天下一の吉備団子魔法を教えておくれよ」

 犬、猿、キジが不平を言いました。


「そうか。残念だったな。おれたちは天下一の吉備団子魔法目録きびだんごまほうもくろくにかかれている文字が草書体そうしょたいなので読めない」

 孫ブルーが言いました。


「だましたな! このひまじんめ!」

 犬、猿、キジは現地解散しました。


 孫レッドたちはできることがなくなったので、ひまじんらしく鬼の踊りを心行くまで見学しましたとさ。


 めでたしめでたし。


 今はこっぽりとびのくそ。


 さらば! 岡山駅前鬼退治ツアー 御一行様!


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岡山駅前鬼退治ツアー 御一行様 小波ここな @Yuusuke76

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