第11話 再び失われたモチベーション……そして、長編連載でのダメージ……。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは、ほぼほぼ関係ありませんので、まあ、あんまり深くは気にしないで下さい。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その原因は、ある意味では、達成感、なのだろうか。そのつもりで狙って取った、ジャンル別でのランキングの1位。ずっとほしかった勲章。
おれは、その日から、また、書けなくなっていったのだ。指が、手が、動かないのだ。
書こうとしてノパソを開いて、その前に座るのだが、どうしても手が動かない。
動くまではとゴーフルクリームを開いて、色々と検索する。
でも、いつまで経っても、小説を書くために手を動かすことができない。
どう考えてもメンタル面が原因だ。
ジャンル別日間1位という、1年前には無理だと思っていた目標を達成したことによって、それまでのモチベーションが一気に昇華されてしまい、次の作品へのモチベーションに繋がらない、という。
そういう状態だった。
それともうひとつ、知ってしまった残念な事実。これはランキングの真実というべきかもしれない。
このサイト、『小説家になったろう』でのランキング狙いは、実は運ゲーだったのだ。
この点については挑戦した作品のポイントを比較してみれば明らかだった。
ジャンル別の日間2位止まりだった短編『NTR幼馴染フォールインヘル ~あんなに好きだったあの子が気持ち悪い~』はその後もポイントを伸ばし、月間の上位にも入って表紙で紹介され、合計で10000ポイントを超えた。
ところが、ジャンル別の日間1位になった短編『気の弱い元カレの未練旅断ち ~オレが前を向くには、あいつにぶちまけるしかない~』は、その後、週間は6位止まりでランキングまとめページにも入れず、月間は上位のトップ10に入れず、ポイントも4000に届かなかったのだ。
つまりは、その時、日間ランキング上位にいる他の作品次第で、日間ランキングの順位は大きく影響を受ける、ということ。
もちろん、ある一定の水準に達した作品でなければ、ランキングには顔も出せないのだろう。
それでも、運の要素はかなり大きいはずだ。
自身の作品の出来だけでは、1位にはなれない。10000ポイントが2位で4000ポイントが1位なのだから。
そう、気付いてしまうと……。
ひたむきに書く、というモチベーションは、おれには保てなかったのだ。
そうしてモチベーションを失ったおれに追い討ちをかけるように、小説賞の二次選考が発表された。もちろん、そのサイトを確認する。
そこに、応募した『いきなりの クラス転移で Toまどいを ~チートな僕と、パニクるあの子の、異世界ラブコメ~』は残ってなかった。何度探しても見つからなかった。当然だ。
二次は通過できなかったのだ。あくまでも、一次止まりの作品だったのだ。
やはり、世の中は甘くない。ジャンル別の日間1位で浮かれて、でも、結局は、小説賞では最後まで残れないレベル。
おれはその程度の、素人作家でしかない。
おまえなんて、趣味で書いてるだけなんだろう? どうあがいたとしても、どうせプロにはなれないよ。
そう、言われているようで。
本当に、この夢を追い求め続けることが、自分のためになるんだろうか、と。
ぐらぐら、ぐらぐら、と心が崩れそうになっていく。
……いや。ひょっとすると、あの小説賞でそこまで評価されなかっただけで、『小説家になったろう』で公開したら、もっと、もっと評価してもらえるのかもしれない。
書くモチベーションは失われていたのだが、これに関しては、既に書き終えた作品だ。書く必要はない。
約10万字の、文庫1冊分を、連載として区切って、予約投稿するだけなのだ。
おれは、『いきなりの クラス転移で Toまどいを ~チートな僕と、パニクるあの子の、異世界ラブコメ~』を『小説家になったろう』で公開することにした。
連載は2022年2月19日の朝から、1日3話更新で公開することにした。
そして、公開して、思い知った。
連載作品は、とにかく、PVが伸びないのだ。短編の時のような勢いはなく、ポイントも全然入らない。
初日のアクセス数は414アクセス。昨年の現実世界恋愛での長編連載と比べると多いが、短編でのアクセスと比べると少ない。
公募に応募して既に内容としては完結済みでなかったら、アクセス数の少なさに心折られて途中で更新を止めていたに違いない。
それでも、まだ、完結ブーストと呼ばれる現象を信じて、最後まで見守ってみる。
完結を迎えた2月25日の金曜日12時。確かに、PVは跳ね上がった。完結ブーストだ。
11時台に12PVだったものが、12時台には284PVだったのだ。前日の12時台は4分の1の73PVなので、前日と比べて4倍ものPVがある。
確かに完結ブーストというものは存在しており、今まで以上に多くの人に読んでもらえているらしい。
そうして、完結時には圏外だった日間ランキングも、2月26日の朝には、116ポイントで43位になっていた。
だが、それ以上、ポイントが伸びていくことはなかった。
「……やっぱり、おれの実力なんて、そんなもんなんかな……」
おれの心は、またしても、折れていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます