緻密で読みやすい文章に彩られた本格ファンタジー。

 セラキスという少女が魔術学園で落ちこぼれと見なされ退学になるところから始まる本作。追放されるという展開を活かした所謂「ざまぁ」要素も節々に散見されるものの、この作品の一番の魅力は緻密な世界設定と、それを最低限の文字で最大に理解させてくれる素晴らしい文章だと思った。

 魔術学園、騎士団、『域外』など、序章だけでもその舞台は転々とし、そこでそれぞれの視点で物語が語られていくことになる。その中のセリフや文章で本筋に並行して語られる世界設定が非常に現実的で、読者に没入感を持たせてくれることだろう。