ヒルツ大尉西へ
@hikobou1
第1話
ヒルツ大尉西へ・01プロローグ「指令」
ヒルツ大尉のけだるい午後。
コンコン、ガチャ、失礼します。
アルジェリアから大尉あての無電が入りました。
特非案件扱いですので直接お渡しいたします。
ハッ?読み上げるのですか?私が?でありますか?
重大な軍令違反になります!
いえっ!決して口答えなどでは、ハッ!了解致しました!
読み上げます。
親愛なるヒルツ坊や、あいかわらず男色にふけっているのかしら?
私のことなんか、もうお忘れになって?ふふ女の気配を感じるわ
あたし以外のひとを抱いたら…怖いわよ。
た、大尉殿!私にはこれ以上、あ、いえっ!決してそのような事は!続けます!
貴方との火遊び、楽しかったわ。あの夏、誰もいない海。そして激しく燃える十日間
二人でのぼりつめそしてまどろみの中に堕ちていく…思い出すだけで身体の芯がしびれ・・・疼くわ。
カスバはいい所よ。欲望と策略、野心と裏切り、狡猾と間抜け、退廃と明るい瞳。すべてが混ざり合って
溶けていくるつぼよ。
私はそこでその腐臭を胸いっぱい吸い込むの。
わかるかしら?各国の間抜けな諜報員を出し抜くスリル。あたしを狩ろうとしたワンちゃん達がお鼻をパチンと弾かれて歯噛みして地団駄踏む姿を笑いをかみ殺して観ているア・タ・シ。
コミンテルンの「ババ抜き」がいい情報をくれたわ。どうやったか知りたい?
お・し・え・て・あ・げ・な・い。
・・・・プルプル・・・ピクピク・・・・
無電なんかじゃいえない事よ、重大だわ。そうねケチャップとマヨネーズが混ざる。と言えば判るでしょ?
イスタンブールの、窓枠のはずれ具合がイカしたあのホテルで待っているわ。
そうねラマダンが終わる頃に。
貴方が来るまで裏窓を眺めて過ごすわ。あたしは幻、急がないと捕まえられないわよ。
親愛なる、男の中のオカマ男子筆頭のヒルツへ・・・幻灯
なっ何なのですか!この幻灯という奴は!無礼ではありませんか?
顔が真っ赤ですと?か、からかわないでください!
はっ?全ては暗号なのですか。軽率でした申し訳ございません。
アッ!これは士官用高級萌えっ娘プリント付しりふき紙ではありませんか!
本当に頂いてもよろしいので?
ありがとうございます!では失礼いたします。カッカッカッ バタンッ!
薄日が差し込む窓を開いてヒルツはため息交じりに
「ま~た始まりやがった」
とつぶやいた。
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