「ライトノベル」と「小説」の違い

華月椿

文体の大きな違い

私は紙で本を読むときは基本的に「文芸体」と呼ばれる小説を読みます。

文芸体とは、感情の描写というよりはその物語の流れや情景描写を非常に細かく書いていく、従来の小説の形態を指します。


次に、私は紙で読むことは殆どないですが、こちらのサイトでもかなりの割合を占めている「ライトノベル体」です。


ライトノベル体は、気軽に読めて文章に重みが少なく、心理描写が大半を占めており、基本的に一人称で書かれていることが多いです。


分かりづらいとは思うので、こちらの例を見てください。


《ライトノベル体》

面白い、なんでこんなに面白いのだろう!

私はわくわくした気持ちでページをひたすらめくっていた。


自分でもびっくりするくらい本に集中していた。いつもならクラスがうるさいだけで集中できなくなってしまうのに、何でだろう。

早く続きを読みたい!

そんな気持ちでまたページを捲った。


《文芸体》

頭上のセピア色のランプが椿の黒髪をほんのりと染めながら見下ろしている。

響はキッチンでいそいそと皿洗いをしていた。


椿は静かにページを捲りながら、ある小説に異常と言っていいほどに没頭している。

いつもならラーメンを啜っているだけで「本読んでるから静かにして」と怒鳴られるというのに、音を立てて皿を洗っていても何も言われない。文字通り超集中に入っているようだった。


その証拠に、響が今皿を落として派手な音を立てて割ったが、それに気づく様子もなく文字の羅列を追い続けている。


この物語がどれだけの衝撃を椿に与えたのかは分からないが、きっと此処で今爆発音が聞こえたとしても、椿はページに目を落としたまま読み続けるのだろう。


いかがですか?

どちらも、文章です。


ライトノベル体の方は文章が軽く、一人称で心情が強く描かれています。WEB小説ではこのパターンが非常に多いです。


文芸体では三人称で書かれていますが、比喩やその分情景描写がしっかりしており、なんとなく本屋で売られている「小説」っぽい感じがしませんか?


これが「文芸体」と「ライトノベル体」の大きな違いです。

一般的にライトノベルと呼ばれる物語と、小説と言われる物語の最も大きな違いはこの部分ではないでしょうか。


個人的に、ライトノベル体は「10代向け」、文芸体は「万人受け」だと思っています。


まるでライトノベルが悪いみたいな言い方ですが、そうではないですよ。

ですが、やっぱりライトノベル体は一定数の読者から嫌われる傾向にあると感じています。


インターネットを見ていると、「この文体見るだけで読む気失せる」と書かれていることが多くあります。要は「従来の小説を好んで読んでいる人々からライトノベル体は比較的嫌われる傾向にある」ということです。


ライトノベルは流行語や新語も多用され、基本的には若者が読むものといった印象を受けます。ハーレムやざまぁ、異世界転生にチートなどのジャンルはこちらで書かれます。


対して文芸体は流行語はあまり使われず、従来の日本語で文章が綴られたものが多く、どんな年齢層も手に取るものだと考えています。ミステリーにホラー、純愛にファンタジー。これらのジャンルはすべてこちらから来ています。


まず一つ目の「ライトノベル」と「小説」の違い、それは「文体」です。


サイトを使うのは基本的に10代から30代が多い印象を受けるので、WEBで受けたいのならばライトノベル体、万人受けや本屋で売ることを目標とするのならば文芸体、とするのが適切ではないでしょうか。


〈おまけ〉

私はちなみに文芸体で挑戦しています。

https://kakuyomu.jp/works/16817330664574486361


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