第1章
第1話 リスタート
死に戻りしてから約一週間が経ち、俺は14歳になった。
今のところ何も変わることはなく一度過ごした日々が続いていた。
ここで一度、俺のこれからの生涯を振り返ってみよう。
まず、15歳になる直前、両親がダンジョンでモンスターに殺される。
こっから負の連鎖が始まるんだ。
思い出したくもない俺の人生。
……んでもって15歳。
俺は学校に入学する。
ゴスイ魔法学校だ。
俺の入った科は魔法科。
以前親に志願した通り、魔法使いになる人達が集まる科だ。
両親が死んだあと、俺は途方に暮れ何もかもやる気を削がれてしまった。
入学手続きはもう済んでいた為、何も考えず入学した。
学校は三年制で、2つの科がある。
それは俺の入っていた魔法科ともうひとつは剣士科だ。
この学校は魔法科がかなり有名で、剣士科を魔法科落ちが過半数を占めるほどだ。
そのせいか、剣士科は"ゴスイの恥"なんか呼ばれていた。
まぁ、学校名に魔法はあるのに剣士がないのはちょっと気になっていたけれどそういうことだ。
この学校で生活していく訳だが俺は一年目。
普通にいじめられっ子になる。
理由は簡単。魔法科なのに全く魔法が使えるようにならなかったからだ。
俺にはセンスがなかった……訳じゃないと思う。
この科に受かるためには筆記試験と魔力試験に合格する必要がある。魔力試験は兎も角、筆記試験に生まれつきの能力に左右されない。努力したもん勝ちだ。
そして魔力試験。これはシンプルに魔力の総量を測る試験だ。
なんで量だけで判断するのか。それは、魔法の使用は15歳まで禁止されているのが大きな理由だ。
そこで俺は前々から魔力が多いと言われ続けていた。
……俺は謎に自信があった。
だってさ!? 色んな人に持ち上げられるんだよ!? そりゃちょっとは天狗になるよ!!
まぁ蓋を開けてみるとあら残念。
炎のひとつも出やしない。
そして俺は2年生の時……剣士科に編入する。
あのゴスイの恥。剣士科にだ。
あの時は本当に気まずかった。
だって周りはほとんど魔法科落ち。
俺は受かったのに魔法科落ち。
いじめられることはなくなった。
でも、ハブられた。いじめのようなはなかったが、俺が入れる輪がひとつもなかった。
そうして俺は何も得ることなく、いや、剣の振り方くらいは覚えて学校を卒業した。
そして卒業後の19歳。俺は運命の出会いをする。
それは、元妻との出会いだ。
ソロで冒険者をやっていた時。
ダンジョンで特殊モンスターにやられている彼女を見つけ、助けたのがきっかけで2人でダンジョンへ潜るようになった。
彼女がやられていたのは魔力量の大幅減少。
俺はさっき言った通り、魔法は使えないが量は多い。宝の持ち腐れってやつだ。
でも、それが役に立った。
普通なら人に譲渡すれば自分が歩けなくなってしまう。
ただし! 俺なら違う!
魔力を譲渡してもピンピンな俺は彼女を助けられたって訳だ。
そこから仲良くなり、付き合うことになり、20歳には結婚をした。
彼女も14歳の時、両親をダンジョンで亡くしているらしく、共通の話題からより仲を深めていった。
ゴスイ魔法学校への入学も決まっていたが、両親を失い入学を取り消したらしい。
俺とは違ってちゃんと前向きに色々考えていて凄いなぁ、と感心したのを覚えている。
今思えば、この時期はまだ最悪なんかじゃなかった。むしろ幸せだった。
あいつと出会うまでは。
そう、妻を寝取り、俺を殺したあいつだ。
21歳の時、冒険者センターで出会う。
この時期、俺と妻は度重なる物価上昇により悲鳴をあげていた。
冒険者以外でバイトもしていたくらいだ。
そのときあいつは俺たちに話しかけてきた。
その要件はパーティーに入れてくれないか? というものだった。
その時期は、生活に苦しむ冒険者は溢れており、新しい制度ができていた。
それは3人以上のパーティーにはクエストクリア報酬を倍にすると言ったものだった。
まず第一、2人以下のパーティーなんて10%もいない。この制度に反対する者なんてほぼ居なかった。
しかし、10%の俺ら3人はその恩恵を受けられない。だから一緒になろう。という話だった。
少し考えはしたが、パーティーに入れることにした。
────それから最悪が始まった。
クエストは俺が探すわ雑用は押し付けられるわ妻に嫌われ寝取られるわ……この2年間は本当に最悪だった。
確かに、妻に時間を割くことが出来なくなっていた。
でも! それは俺悪くないじゃん! あいつが俺に色々押し付けるから!! 時間なんてあるわけないよ!!
……今思えばあれもわざとだったのかな。
元から妻狙いだったのかもしれないと今ふと思う。
だったら尚更腹が立つ。絶対次は取られない。
なんなら復讐だ。これはあいつへの復讐のリスタートだ。
ま、次があるかも分からないけどな。
それで最後。23歳になってから3日。
左脇腹をグサリと一突き。俺は殺される。
もし、このまま同じように人生が歩んでいくのであれば。
俺はまず何をするべきか。
「母さんと父さんを助ける」
俺はベッドに横になりながら拳を突き上げ、握りしめた。
──────
翌日。俺は近くの洞穴に来ている。
人が誰も来ない俺だけが知ってる秘密基地だ。
「よし、やるぞ……はっ!!!」
俺は右手を前に突き出し、魔力をため……
「やっぱ無理だーーーーーー!!」
俺は魔法の練習を始めていた。
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