妻を寝取ったパーティーメンバーに刺殺された俺はもう死にたくない。〜二度目の俺。最悪から最高の人生へ〜

@hashi__yuu

プロローグ

プロローグ

 ここはダンジョンの奥深く。


 そこで俺は……倒れている。


「な……んで……お前……」


「すまんなバッド。もうお前……いらないから」


 左脇腹に刺されたナイフはしっかりと急所に刺さっていた。


 痛すぎる。あまりにも痛すぎる。

 脈を打ちながら流れる血は止まらない。


 死ぬのは嫌だ。でも、未練は無い。


 早くに両親が死に、魔法学校では魔法が使えずいじめられ剣士に転向。


 唯一の奥さんも寝取られ裏切られる。

 ちなみに俺を刺したこいつが浮気相手だ。


 許したさ。あぁ許した。だってこのパーティー抜けちゃったら生きていけないんだもん。


 パーティーメンバーに嫁とその浮気相手がいるのはすんごく気まずかったよ?


 でもね!? しょうがなかったんだよ!?


 ……ま、今更グチグチ考えても仕方ないか。

 だって死ぬんだし。


 まぁ殺される理由は分からない。

 俺の魔力が人よりちょっと多いからそれを奪うためだろうか。


 もし、生まれ変わるなら。

 次は……普通に生きたいなぁ……


 いや……異世界転生でもしてみてぇなぁ……


 23歳。俺はダンジョンの奥深くで死んだ。


 ──────


 白い光に包まれた俺は周りを見渡すが、意識だけはっきりしていて何も見えない。


 もしかしてこれ……異世界転生来るんじゃね!?


「はっ!!」


 なんだ……夢かよ……


 ちょっとガッカリする俺がいた。

 ……ん? ちょっと待てよ? ここどこだ?


 普段寝ているはずの部屋と雰囲気が違った。

 周りを見渡すと……


「……実家?」


 ここは俺が生まれ育った家だった。

 でも俺は20歳になる時にここを出ている。


 って言っても売り払って別の家で嫁と暮らしてたんだけどな。


 ん? 売り払って? 売り払ったよな?

 その時だった。


「バッド〜ご飯できたわよ〜。今日はあんたが好きなハンバーグよ〜」


 亡くなったはずの母の声だった。


 俺は急いでベッドから飛び起き、今日の日にちを確認する。


 今は20時13分! ……って時間は要らねぇよ!!


 てかなんちゅう時間に昼寝してんだ俺!


 バタバタと引き出しの中からカレンダーを取り出す。


 星歴323年……って事は……俺は今……13歳!?


「ほら〜はやく〜」


 なんでだ? 俺はあの時本当に死んだって言うのか?


 でも、そうだとしてもおかしい。

 鏡に映る俺は間違いなく昔の俺だ。


 ……とりあえずご飯食べるか。


 ──────


「いただきます」


 俺は食卓に着いた。

 前にはお父さん。横にはお母さんが座っている。


 2人とも俺が15歳になる前にダンジョンのモンスターに殺されて亡くなっている。


 そうなってくると俺が13歳なのはかなり辻褄が合ってきてしまう。


 その時、お父さんが口を開く。


「そういえばお前、魔法使いになるのか剣士になるのか決めたのか?」


「あ、え、えっと……」


 覚えてる。完全にこの会話覚えている。

 ここで俺はここで魔法使いになりたいと答えるのだ。


 それが最悪の始まりだった。


 ……どうする俺。

 これは完全に来ちまってる。昔の俺に。


 もしかして……また俺かよ!!

 転生先また俺ですか!?!?


 転生じゃなくて……死に戻り……か……。


 でも……まだ今なら最悪は始まってない。

 こっからならまだ、両親の死もいじめもNTRも刺殺も免れられるかもしれない。


 その時、俺は無性にイラついた。

 なんでお母さんたちは死んだのか、なんでいじめられたのか、なんでNTRたのか、なんで……殺されたのか。


 ……やってやる。あぁ! やってやるよ!

 もう一回"俺"をやってやるよ!!


 そんでもってもう最悪は見ねぇ!!

 さいっっっっこうの人生を送ってやるよ!!!


「お父さん……俺……魔法使いになるよ」


 こうして俺は、俺の二周目が始まった。

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