ガラ・ルーファ豊穣祭(六)

 ガラ・ルーファ豊穣祭、今日は闘技会の予選が行われています。


 アイナさんはこの日三試合を戦ったのですが、苦戦したのは初戦のヘクターさんだけでした。つまり予選を通過し、本戦出場が決まったのです。ということは……


「こちら配当金の四千九百ペルです。ご確認ください」


 カウンターの奥からお姉さんが布袋を持ってきました。千ペル金貨が四枚とと百ペル銀貨が九枚、確かに入っています。


「えへへへへ……」


「うふふふふ……」


 私とフリエちゃんが揃って変な笑いを浮かべ、シャルナートさんが無造作にお金をポケットに突っ込みました。


「おいガキども、次行くぞ」


「はい?どこへですか?」


「決まってんだろ。馬だよ馬」




「馬」と言われても私にはよくわからなかったのですが、シャルナートさんは闘技場に隣接する競馬場に入っていきました。階段を上って客席に出ると、鮮やかな緑の芝生が目に入ります。驚いたことに先程の闘技場よりもたくさんの人が詰めかけています。


「で、どれにするよ?」


「え?ええと……」


「あ!『マジシャンガール』ですって!アタシあの子にするわ!」


 どうやらこの競技場を一番早く一周した馬?を当てる賭けのようです。距離がどうの、血統がこうで、展開が……などとシャルナートさんが説明してくれたのですが、さっぱりわかりません。フリエちゃんは名前で決めてしまったようなので、私は見た目で決めることにしました。


「ええとじゃあ、この子に全部」


「また全賭けフルベットかよ!やるなお前!」


 結局よくわからなかったので、『ストーンフラワー』という一番小さくて目がくりっとした可愛らしい子に全部賭けることにしました。その結果……




「こちら配当金の三万四千三百ペルです」


「えへへ……」


「魔術師でもないのにやるじゃない!さすがアタシの弟子だわ!」


「おいおいおいおい、天才かよお前」


 お金が七倍になって返ってきました。確か昨日の宿代が二人で八百ペルだったので……ええと、かなりのお金持ちになってしまいました。




 夕方にはアイナさんも合流して、昨日よりもちょっと素敵な宿屋で豪華な夕食を頂くことにしました。もちろんお金持ちの私のおごりです。


「アイナの本戦出場と、天才賭博師ギャンブラーに乾杯!」


「えへへへへ、みなさんたくさん食べてください」


 この日私は麦酒エールを五杯と山盛りのポテトフライを頂いて、お腹いっぱいでお友達に囲まれて、幸せな眠りにつきました。

 少々お金を使い過ぎてしまったかもしれませんが、また賭け事ギャンブルで稼げば良いので大丈夫だと思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る