小さな吸血鬼さんじゅうにさい
田舎師
第一章 小さな吸血鬼さんじゅうにさい
小さな吸血鬼さんじゅうにさい(一)
また
あ、ピッピというのは私の肩に止まっている
前に
……とても痛かったです。剣で斬られるのも、突き刺されるのも、光の魔法で撃ち抜かれるのも、痛いに決まっています。どうしてそんな事をされるのか、私にはわかりません。魔貴族の心臓を食べた人はその力を得るというお話があるそうですが、それを信じているのでしょうか。
でも、あの人達の方がもっと痛かったと思います。
でもそうしなければ、私が殺されてしまいます。その方がいいのかな、などと考えるときもありますが、心の中のお母さんに叱られてしまいます。ロナ、もっと自分を大事にしなさい。あなたは私とお父さんの宝物なのよ、って。
もうすぐ
古くて暗くて広すぎる城なのにすごいなあ、と思います。私なんてピッピとポンタがいないと夜中におしっこにも行けないのに。
中でも一番怖いのは、この『玉座の間』です。たくさんの
コツ、コツ、コツ……足音が近づいてきます。
やがて大きな影が現れました。夕陽のように明るい赤毛の女性です。金属鎧の下で筋肉が盛り上がっていて、背中に私よりも大きな剣を担いでいて、こんなに大きな女の人は見たことがありません。一瞬ですが
「あなたが吸血鬼?」
「ひゃ、ひゃい!ごめんなさい!」
そう言いかけて手で口を押えたのですが、もしかしたら声が出ていたかもしれません。
でもここで負けてはいけません、怖い言葉で
「お、愚かな
あまりの痛みに涙が出てきました。私の犬歯は吸血鬼らしく
「ちょっと、大丈夫?見せてみなよ、薬塗ったげる」
「ふええ……すみませぇん」
優しそうな人で良かった、と思います。
こんな優しい人に血で罪を
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