第4話 犯人はお前らだ

「ヨッチーがたちけてくれたの」

「ルナちゃん、それじゃわからないよ。ルナちゃん、幼稚園の頃に戻ったみたい」

「よほど怖かったんやね。おいで」


 ナオがルナと一緒にヨッシーを抱き締めようとした。


「僕は大丈夫です」

「随分としっかりしているんやね。ルナを助けてくれてありがとうね」


 ストーカーみたいやなんて思うてごめんなさい。おかげでルナが助かった。ルナのあとをついて行ってくれてへんかったら、と思うとゾッとした。


「本当に無事で良かった。ヨッシー、ありがとな。ところで、その男たち、顔を見たらわかるか?」


 一平パパは刑事の顔になっていた。


「わかります」


 二人は麦茶を飲んで落ち着いたところで、エレベーターで1階の駐車場に連れて行かれた。


「ルナもヨッシーも後部座席に隠れているんだ。絶対に顔を出すなよ」


 逃げるとき、ルナたちがしばらく隠れていた大きな象の滑り台のある象さん公園を通り過ぎた。


「肉屋のビルって、揚げたてのうまいコロッケの店だろ? あのおやっさん、店をやめてしまったのか?」

「うん、ビルごと売ってしまったみたい。せっかく新しい看板つけて、今風だろって自慢してたのに。近くのガレージも一緒に売ったみたい」

「ナオさん、やけに詳しいな」

「前にうちでガレージ作るときリサーチしたから。でも、そこのガレージ、車の出入りしている様子ももなくて変やなと思うたん」


 後部座席から声がした。


「あの車。あのおっさんです」

「わかった。ヨッシー、あとちょっとだけ隠れていてくれ」


 一平は肉屋さんのあった@niku_9ビルを右折して、そこを通り過ぎた。

 

 えっ、行かないの?

 ヨッシーはてっきり警察手帳を出して、手錠をかけるものと思っていた。


「捕まえなくていいんですか?」

「担当の所轄が違うから、あとは任せるんだ」


 少し先に駐車する黒いセダンがあった。


「ナオさん、あの車に見えるようOKサイン出してくれ」


 ナオは左手の親指と人差し指をくっつけて窓に張り付けた。


「こんなんでええの?」


 すると、駐車している車の窓にも同じようにOKサインが返ってきた。


「悪い、次の車にも出してくれ」


 今度は黒のタウンエースだった。

 同じようにOKサインが返ってきた。


「ナオさん、ありがとう。ヨッシーもルナも顔を出していいぞ。麻薬チームは3か月前から張っていたらしい」

「えっ、じゃあルナが誘拐されそうになったときもおったん?」






🏠@niku_9さんのお名前をお借りしました。ありがとうございました。 

作品 『俺のおかん』

https://kakuyomu.jp/works/16817330660576976948






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る