悪徳貴族に転生したから好き放題やる ~鬱アニメの世界で頻繁に発生する鬱展開を無自覚にぶっ壊していくやつ~

米津

一章 領地改革編

1. 真面目に生きても報われない

 真面目に生きていても報われない。


 それは真理だと思っている。


 オレは日本という国で普通のサラリーマンとして働いていた。


 そこそこの規模の会社で、そこそこの給料を貰っていた。


 ブラック企業ではないが、クソウザいハゲ上司がいるのは面倒だった。


 当時のオレはクソ真面目で無駄で無意味な正義感を持っていた。


 ある日、偶然、クソウザい上司の不正を発見した。


 数千万の横領だ。


 オレは正義感に突き動かされ、経理部に事実を伝えた。


 もちろん、あの上司を辞めさせたいという魂胆もあった。


 だが、根本にあったのは「正しいことをしよう」という正義感だ。


 しかし、オレは正しさなんてクソの役にも立たないことを知らなかった。


 そもそも正義なんてものは己の都合を押し付けているだけということにも気づかなかった。


 正義感なんて自分を正当化するための方便だ。


 それなのに善人気取って正義感を振りかざした。


 会社は腐っていた。


 経理部と上司は繋がっていたのだ。


 そして、横領はすべてオレがやったものとして処理された。


 会社を辞めさせられた。


 懲戒処分、懲戒解雇だ。


 そのせいで転職先は見つからず。


 自暴自棄になって酒を飲みまくり、ふらついた足で道路を歩いていたらトラックに跳ねられて死亡。


 クソみたいな最期だった。


 そしてオレは異世界に転生した。


 転生先は、なんか良いところのぼっちゃんだった。


 伯爵家の長男としてオレは生を受けた。


 つまりオレは伯爵という最高の地位を約束されたということだ。


 貴族として生まれ変わったなら、オレはもう自重しない。


 真面目に生きるのを止めよう。


 良いやつとして生きるのも止めよう。


 平等なんてくそくらえだ。


 そんなものこの世には存在しない。


 誰になんと言われようが自分が生きたいように生きる。


 オレはオレさえ良ければなんだっていい。


 誰のためでもない。


 オレはオレ自身のために生きてやる。


 悪徳貴族として好き勝手生きてやる!


 そう誓った。

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