第64話 グッドマフィア



 あれから少しギクシャクしたが今は普通に話せるようになった。

「千夏行くぞ」

「はーい」

 転移して王都から東にいったダンジョンに入っている。

 ここもゴーレム系が多いのでブラックスミスで倒している。

400階層にきてボスを倒し家に帰ると、テレビをつけてこたつに入る。そろそろコタツもしまわなければなぁと思いつつもテレビに映った冒険者が、この前装備を上げたあいつらだった。ちゃんとレベル上げをしているようで嬉しい。

「あ、この前の子達だ。よかったわね」

「あぁ、ちゃんと言った通りレベル上げをしているみたいだ」

「この前はわるかったね、お人よしも度がすぎると思ってカリカリした」

「いいよ、お人好しは合ってるから」

 二人で乾杯をしてテレビを見つめる。

 やはり装備を上げて良かったと思う。


 500階層まで突破してジョブオーブはシーフ。金貨はいつも通りだ。

 マスターコアに登録して外に出る。

「あー。疲れたよ」

「だな、そう言えば冬夜の召喚獣で空飛べるのはいるのか?」

「いますよ」

「じゃあ次の街まで乗せてもらおう」

「召喚、ワイバーン」

 そこには大きなワイバーンが首を垂れて冬夜にスリスリしている。

 四人乗っても平気みたいで空高く飛ぶと次の街が見えた。

「すぐつきますね」

「あぁ。いいねこれ」

 俺も召喚士がほしくなったな。

次の街で降り立った俺たちは中に入ると荒れている。

「何でこんなに荒れてるんだ?」

「すぐにわかるんじゃないか?」


 男が一人車を乗り回している。

 アプリのせいか。

「おい止まれよ」

「あん?お前たちもアプリ待ちらしいな。どんなアプリだ?」

「こんなアプリだ!」

 斧で車を破壊する。

「おい。なにすんだよ!」

 降りてきた男は銃を手にしている。

「ここは楽しむところだぜ?」

「ちがうな、そんないかれた世界じゃないぞ?」


 冬夜が銃を斬ると男は驚いて飛び上がる。

「あぶねえだろ!」

「そっちの方が危ないだろ?」

「俺のアプリじゃ何やってもいいんだよ!」

「それでも異世界だからって何やってもいいなんてことはない!人がいるんだよ!」

「お前らNPCになに遠慮してんだよ!」

「だからそうじゃないっていってるでしょ!」

 千夏も怒っている。

「んなこといって、好き勝手やってんだろ?」

「異世界だからって人間には変わんないんだよ」

「うるせーな、おら!お前ら邪魔なんだよ!」

 車をまた出して走って行く男。

「くっそ!あんな奴がいるから!」

「大丈夫ですか?」

 エマがポーションを飲ませている。

「あぁ、ありがとう」

 俺たちも他の人を助けて回る。

「いきなりきて暴れていったんだよ」

「馬鹿な奴だ、ここはゲームの世界じゃないのに」

 村人からはお礼を言われたが、なんか腑に落ちない。

 とりあえず一泊して家に帰ると、今日は居酒屋に行ってやけ酒を飲んでいた。

 あんな奴がいるから大変なんだよな。

「ほんと自分のことしかかんがえてないんだから」

 まったくだな。  

「自由度の高いゲームは何でもできますからね」

 あっちで死んだら死ぬよな。

「あっちでバカやってる奴は多分死にますよ」  

「そう、それはどこでもいっしょ」

 エマが悲しそうに言う。

「あー、わかる人が多くなればいいんだがな」

「わかるわ」

「ですね」

「そう言う人ばかりじゃないから」

 エマの言うこともわかる。から何とも言えないな。

「今日は飲むぞー!」

「「おぉー!」」


 案の定次の日は二日酔いでダウンしていた。

「うー、頭いたい」

「大丈夫ですか?」

「まぁ、そこまで酷くないからな」

 あいつはどうなったのだろうか?車で走り去ったけど。

「ぶっちゃけ、あんなことしてたらすぐ死にますよ」

「だよな」


「でも死んでほしくもないな」

「僕はどっちでも良いですかね、やっばり自己責任だし」

「まあ、否定はしないがね」

 死ぬたきゃ誰でも死ぬんだから楽しくて死ねるなら本望かもな。

 

 これかな?グッドマフィアってゲームが出てきた。グラフィックは綺麗だし言うことないけど何でもして良いってのが売りみたいだ。

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