第61話 居酒屋


「これくらいでいいか」

「そうね、買い出しも大変ね」

「だろ?四人ともなると大変なんだよ」

「まぁ、しょうがない」

 千夏は俺に冷たい!


 帰りに寄ったギルドでは転売ヤーが売り物を返しにきて大変だと言っていた。しょうがないだって売ったんだもん。

 売値の半額で買い戻されていた。

 これならひとまずギルドの方は大丈夫かと家に帰る。


 アルノードの街からまた街道を北にすすんでいくと大きな街がある。首都モスクエだ。

 街の中に入るといろんな格好の人がいて楽しい。ギルドで来たことを申請して、ここの近くのダンジョンのことを聞くと東門から出て真っ直ぐとのことだった。

 武器防具屋では目新しいものがたくさんあり、買いそうだったが高すぎる。

 つぎはスキル屋に行くとやはりお目当てのものはなし。ジョブオーブも普通だった。

 ちょっとがっかりしたなぁ、首都なのに品揃えが悪いんじゃないですか?

 いや、俺たちの欲しいものが希少なだけだな。


 久しぶりに酒場で飯を食うと不味くも美味くもなかった。失敗したなぁ。


 宿を借りた後、家に帰還する。

「なんか残念でしたねー」

「な、なんか残念感があったな」

「ご飯が美味しくなかった!」

「それはドウカン」


 まぁいろんな国を旅するんだ、ハズレの時もあるさ。

 明日は休みにしてリフレッシュしようか。

「明日休み!」

「「「賛成」」」


 だがいつもの如く、ソファーでゴロゴロとしている二人。買い物に行く二人に別れて行動している。もちろん俺はゴロゴロするほうだ。


「ジョブが多いと武器が集まらないことありません?」

「あるよ!大量にある」

「いま新イベやってるんですけど勇者装備の剣だけでないんですよ!」

「わかるわ!俺も今イベントで魔王装備が手に入らなくてイライラしてるもん」

「はぁ、また一からだ」



「まぁーた二人ともずっとゲームしてたんでしょ?」

「うん!俺はもう魔王装備手に入れたからいいんだ!」

「くっそー!僕だけでないなんて!」

「久しぶりに外にご飯行こうよ」

「何食べる?」

「焼肉か居酒屋」

「じゃあ居酒屋で!」

「オッケー!準備してよ!」

「まだゲットしてないのに…」

 冬夜がんばれ!


「「「「カンパーイ」」」」

注文は千夏に任せて俺は飲んでいる。エマは来たことないので楽しそうだ。冬夜はこっそりゲームやってるが知らんぷりしておこう。


「やきとりうめぇ!」

「だな、砂肝最高だ!」

「おいしい!さいこー!」

 エマも楽しく飲んでいる。

「てかなんで異世界一周なの?」

「ん?やってみたくない?大陸一つしかないんだし」

「いやぁ、でも相当かかると思うけどな」

「馬車でもまた買うか?」

「馬車でもキツイっしょ。よく考えてみて?日本一周だってかなりきついんだよ?」

「だな」

「それを徒歩でいくなんてって思うでしょ」

 エマも頷いている。

「まぁ、一周できなくてもいいじゃん!だって寄り道ばっかりしてるし」

「あぁ、それだけ聞けて安心した。本当に一周しそうな気がしたからさ」

 千夏がホッとしている。

「でも、召喚士がいるから空からいけるかもよ?」


「あぁ、その手があったかぁ!」

「あっ!やった!やっと取れましたよ!」

 冬夜が喜んでいるが、

「何居酒屋でもやってるんだ?」

「いや、気になっちゃって」

「飲め飲め!」

「アルハラだぁー!」

「うるせぇ!」

 冬夜、たくましく生きろ!

 エマと乾杯してゆっくり飲んでいる俺たちだった。


「うー、頭いたい」

「飲ませすぎだし飲み過ぎなんですよ」

 アルハラにあった冬夜はご機嫌斜めだ。

「うー、頭に響くからやめて」

「あー!僕の天下だ!」

「だめ、千夏がかわいそう」

「う、はい」

 エマが間に入ってことなきを得たが、今日は休みだな。


 まぁ、イベントも終わったし書き込みでもみてみるかな?

[ようやく100階層突破!]

[嘘乙]

[ちゃんと突破したって!宝箱には金貨とスキルオーブが入ってたし]

[まじか!]

[金貨もたくさん入ってたぜ]

[成金乙]


 まだ、100かぁ。『FO』じゃこれが限界なんかな?

 まぁ、俺たちには関係ないか。


 ジョブ上げ切ったらどうしようかなぁ、やっぱりダンジョンだよな。アイテムボックス探しでもするか。


 ん?宝箱ってランダムなのかな?マスター権限で変えれたりして?

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