第8話 ボス部屋ですね、わかります。
やつらと私の違いは―そう、踏み込みと腰の使い方。
であれば、それを真似して…くらえ!!
しっかりとした手本を見たことによって、過去ないほどに体重が乗っている一撃。
それを受けたスケルトン・ナイトの骨は、それが当然かのように砕け散った。
…よし、上手くいったようだ。
このまま、感覚を忘れないうちに他の奴らも倒してしまおう。
残りは3体…まずは1体目。
2体倒したことにより上がったステータスを活かして急接近。
目の前で止まると同時に右下から剣を振るい、泣き別れる敵の頭と胴体。
流石に危機を感じたか、残りのうち近くにいた奴が剣で頭上を守ったので、その勢いのまま先ほど学んだばかりのものを食らわせる。
思いきり体重を乗せ、敵の守りごと頭蓋骨を粉砕して一撃。
そうして残った最後の一体。
今度は向こうから走ってきて剣を振ったので、こちらもぶつけて反撃。
そのまま上に剣を弾き、相手より高いAGLに物を言わせて速攻で剣を引き戻し胴体に一閃。
こうしてその場にいた5体のスケルトン・ナイトを全滅させた。
《レベルが30に上がりました》
…ふう。一旦落ち着こう。
こうして冷静になってから考えると、先ほど切り方を学んだ2体目の時、勢いのままにやってしまって良かったと今更ながらに感じる。
あそこでもし冷静に戦って「勝てない」とでも思っていれば、今頃暴走していた気がするからだ。
暴走の内容は分からないが、少なくとも理性が吹き飛ぶくらいはするだろう。
そうなれば、それこそ負けていたかもしれない。
そんな考えがよぎり、背筋に寒い物が走る。
それはそうと、大分レベルが上がったな。
戦っている最中は、集中していて聞き逃してしまったようだ。
特に新しいスキルや称号を得たわけではないが、一応確認しておくとしよう。
名前:なし
種族:スケルトン・ナイト
Lv:30
HP:395/395
MP:0/0
STR:325
VIT:325
INT:0
MIN:1
AGL:275
LUK:100
ユニークスキル:【傲慢】
スキル:【アイテムボックス】【鑑定】【言語理解】【成長加速】【思考加速】【剣術】【看破】【体術】【威圧】
称号:【元異世界人】【知恵を持つ魔物】【幸運者】【同族殺し】【見破りし者】
ふむ、スケルトン・ウォリアーだった頃よりステータスの伸びが良いような気がするな。
進化してステータスの伸びもよくなったのだろうか?
…というか、この階の敵は皆あんなふうに複数体で固まって動いているのか?
「
できれば1体で行動している敵と出会いたいものだ。
そう願いつつ、次の敵を求めて歩を進めるのだった。
それから数時間後。
…おかしい。
もう数時間歩いているはずだというのに、なぜか敵が見当たらない。
前の階のように避けられているのかとも思ったがどうも違いそうだ。
なんせ、逃げて行く敵の姿すら見えないのだ。一体どうなっている?
そう考えつつ概算数十回目の角を曲がると、そこには大きな―あのモンスターハウスのものにも似ている―扉が鎮座していた。
明らかにこの奥に敵が居そうだ。
しかし、それと同時にこうも思う。
「非常に怪しい」。
ありえないほど閑散とした階。
モンスターハウスの扉のように見えて、それより大分豪華な装飾がされている扉。
それになにより、この階の一番奥にこの扉があるということ。
それらすべてを踏まえた上で、直感する。
「ここはボス部屋だ」
冒険系のRPGや異世界物の小説などによく出てくる「ボス」。
それらは大抵、プレイヤーよりも高いレベルとステータスに巨大な体躯、特殊な耐性にスキル、様々な配下などを駆使してこちらに襲い掛かってくる。
この扉の先には恐らく、そういう類のものが居るのだろう。
そしてこういう時、何の対策もせずに挑むと即殺されて終わりというのがゲームでよくあるパターン。
とはいえこの階も前の階もほとんど見て回ったし、強力な相棒になりそうな武器や防具は存在しなかった。
当然アイテムもだ。
まぁ、【体術】のスキルオーブがある意味その一つなのかもしれないが。
こうなってくるとこの階でとことんレベル上げをして進化が終わってから挑みたくなるが、前の階で数日過ごしているうちに、敵のリスポーン(復活)は1日1度、それもランダムな地点だということがわかった。
となるとこの階で進化をするためには、ランダムに飛んで行っていった敵(5体)を倒すために1日休み、更に数日それを繰り返さないといけない。
さすがにそれは退屈だし、普通に面倒だ。というわけでその案は却下。
となるとレベルアップすらしていないままでボスに挑むことになる。
流石に少し怖…あー…いや、まて。
よくありがちなボスの特徴は何だった?
そう、配下を沢山召喚することだ。
そしてこの場所には現状、スケルトン系列の魔物しかいない。
スケルトン・ナイトで最終進化とは思えないし、もう1,2段階はあるだろう。
そしてスケルトン、ひいてはアンデッド系で有名なモンスターといえば、そう。
「リッチ」だ。
つまりこの場所のボスはリッチ、あるいはそれに近しい何者かだと思われる。
そして配下とはイコール、自分の下僕、眷属と言い換えることが出来るはず。
…つまり、スケルトン・ナイトもこの先に居るのでは?
…なんとなく希望が見えてきたな。
スキル的に怖いというのが危ない気がして無理矢理ひねり出した理論だったが、存外悪くなさそうだ。
これでリッチ1体だけとかだったら笑いものだが、まぁさすがにないだろう。
…ない、よな?ないと信じよう。
きっとないはずだ。恐らく。多分。
…これ以上考えても仕方ない、行ってみるとしよう。
もしダメならその時は「暴走」の出番だ。
相手を倒してくれることを期待して気絶するとしようじゃないか。
そんな、大分怪しい理論を掲げつつ、渾身の力で目の前の扉を開ける。
そうして部屋に入って顔を上げた瞬間。
上からスケルトンが1体、降ってくるのが見えた。
短剣を振るってきたので急いで剣で防御。
そのまま反撃のために剣を振るうとすでに後退していた。
かなり素早いな。そう思い【鑑定】する。
どうやら「スケルトン・キューショナー」というらしい。
だとすれば数日前に見たスケルトン・アサシンと何かしら関係がありそうだな。
そう考えていると、視界の端に炎の球が見える。
突然の出来事に狼狽えていると、その炎はどんどん大きくなっていく。
というより、近づいてきているようだ。
そうして近づいてきたソレが爆発。
―辺りは煙に包まれるのだった。
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