悪魔と小鬼とスケルトン

からす

第0章 プロローグ

第0話 おとぎばなし

どこからか、読みきかせをする声が聞こえる。




「これは、少しむかしのおはなし。

とある大きなおしろに、マオウとよばれる、とってもこわいアクマがいました。

アクマはたくさんの人をおそい、たくさんの村をこわし、たくさんのマモノをしたがえました。

そのアクマはある日、ひとりのマモノに恋をしました。そして、ふたりは付き合うことになりました。

ふたりはいつでもいっしょに、とってもなかよくくらしました。そんなある日のこと。

とつぜんかみさまが空からやってきて、いいました。

「おいマオウ。人をおそうのをやめるんだ!」

しかし、マオウはしらんぷり。すると、かみさまはこういいました。

「やめないなら、こうしてやる!」

なんと、かみさまはマオウのそばにいたマモノをころしてしまったのです!

しかも、そのマモノはマオウがすきな、あのマモノでした。

とうぜん、すきな人をころされたマオウはとってもおこって、なきさけびました。

しかし、どんなにないてもマモノはもどってきません。

ないて、ないて、なきつかれたマオウは、ゆっくりとねむりました。

それからマオウは、人をおそうことも、村をこわすこともなくなりました。

めでたし、めでたし」




「マオウかわいそう…」

「なにいってんだよ、マオウがわるいことしたからだろ?」

「でも…」

「こらこら、喧嘩しないの。これ読んだらもう寝るって約束でしょ?」

「「でもー」」

「でもじゃありません。そんなに言うなら明日は読んであげないわよ?」

「「やだ!」」

「じゃあ、早く寝なさい。ほら、電気消すわよ?」


これは、どこにでもいる、普通の家族。

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