未確認シャーク 四
レインシャークの話を聞く限り、関田は集団失踪事件を追うつもりは無いらしい。むしろ、これから起こる事件を警戒しているようだ。
尻が痛かった。とても座ってられなかった。痔かもしれない。もう限界であった。
「関田さん病院行って良いですか?」
と、俺は言った。特殊事件捜査係に配属されてからやる気なんてものは一切無くなっていた。関田に巻き込まれたくない。
「いつからだ?」
と、関田は真面目に聞いてきた。
「今日の午後から行きたいんですが。」
「そうじゃない。いつから症状が表れたんだ?」
と、関田は真面目な顔をして言う。嫌な予感がする。
「一週間前から……」
と、恐る恐る答えた。関田は失踪事件の資料を手に取り考え込んでいる。
「2週間前、お前は何処にいた。」
と、関田が言う。
「伏枝町で調査していましたが……」
取り返しのつかない事に足を踏み入れている気がしてならない。
「近いな……」
と、関田は独り言を呟く。
「篠原、八百万の所で観てもらえ。あいつは一応医者だ。」
嘘だ。あの胡散臭いサメ研究所の所長が医者?百歩譲って医者であってもあいつだけには観られたくない。
「流石に悪いですよ。かかりつけの医者に観てもらいます。」
と、俺は言った。
「お前のそれはサメの可能性が高い。」
と、関田は言った。こうなっては引き下がらないのはこの1年で嫌ほど理解している。たとえ逃げ出した所で、拉致監禁されてサメ研究所に連れて行かれるだろう。
「わかりましたよ。」
と、俺は頷くしか無かった。
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