暴れウォシュレットVSイボ痔シャーク

あきかん

未確認シャーク 壱

 突然の夕立ち。夏の陽射しを降り注いでいた空が一瞬で黒い雨雲に覆われた。

 雨音が全てをかき消していく。洋子のワイヤレスイヤホンから流れていた音楽も雨音に上書きされる。

 傘に大粒の雨が当たる。ダー…ダー…と轟音が鳴る。雨で一寸先も見えなかった。

 痛ッ、と洋子は思った。頭に何か当たった気がした。傘に穴が空いてしまい、大粒の雨が頭に当たったのだ。

 洋子の傘は直ぐに骨だけになり、そして骨も雨に食われてしまった。

 雨が洋子に降り注ぐ。洋子は激痛で膝を落としてしゃがみ込む。

 洋子の血が地面に広がり雨で洗い流される。洋子の皮膚が髪が肉が大粒の雨に食われていく。

 洋子は泣き叫ぶ。しかし、その声は雨でかき消される。

 洋子は雨に食われていく。飛び散る血肉の残骸は雨に流されていく。

 

 夕立ちが過ぎ去り、真っ赤な太陽の光が街を染めた。赤く染まったその街では、洋子の存在は跡形も無く消え去っていた。

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