第4話

「先輩、ちなみになんスけどスナイパーライフルでどれくらいの距離の的を撃てますか?」


 確か、世界記録はカナダ軍のスナイパーが【マクミランTAC―50】で3,540mを狙撃したらしい。


「そうだなぁ…【御剣真陰流射撃術】を使えば、5㎞先にある針の先端を撃ち抜くことは可能だ。」


「チートじゃないッスか!?」


 そんなものなのか?爺さんは10㎞先にある針の先端を撃ち抜いたけどな。

 和也とそんな話をしていると、俺たちに近付く気配がした。


「和也!!やっと見つけた。」


「うぇ、美穂みほ!?」


 フム、彼女は和也の恋人で会社の広報課に所属する、田中たなかさんだったかな?


「なんでお前がここに居るんだよ!!」


「そんなの決まっているでしょ。」


「お前のことが心配だからだろうな。」


「御剣さん?その格好は?」


「先輩、俺だけじゃないみたいッスね。」


「……そのようだな」


 やれやれ、そんなに変だろうか?


「それより和也、私も一緒にいていいかな?」


 切り替え早いな…まぁ、他人にどう思われようがどうでもいいことだから気にしてないが。


「先輩、どうしましょう?」


「別にいいんじゃないか?和也が側にいて守ってやれば。」


「御剣さんもこう言ってるし、いいよね!」


「いやいや、自分の身を守るだけで精一杯だって!!」


 これ以上は、藪蛇やぶへびになりそうだな。


「ところで、田中さんの装備はどんなやつ?」


「私の武器は、これです!!」


 そう言って田中さんが見せてくれたのは、【MGL140】と呼ばれるリボルバー式グレネードランチャーだった…しかも二丁。


「……田中さん?何故【MGL140コレ】を選んだの?」


「見た目!!」


 即答!?俺には田中さんの感性がわからない…【MGL140】は一丁が6㎏も有る代物で、女性が持つ銃じゃないと思うのだが…彼女は以外と力があるようだ。


「左右の肩から『たすき掛け』すれば、持ち運びに便利です!!」


「ちょっ、お前、何やってんだよ!」


 うん、彼女はどうやら天然のようだ。彼女のそれなりにある胸部装甲が更に強調されている。

 和也のヤツ、田中さんに注意をしながらガン見してちゃ説得力ないぞ?


「あ~、その~、なんだ。そろそろ【デバイス】を探しに行こうか。」


「そ、そうッスね。」


 俺と和也はそろって明後日の方を向き、田中さんに移動を促す。

 田中さんは小走りで付いて来るから、胸部装甲の主張が激しい。


「Hey!!!ダニエル。こんな所にサムラ~イが居るゼ!!」


 なにやら、めんどくさい事になりそうだな。

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