第2話

【AWO】を始めたら最初に訪れる場所、【始まりの街】スターティア。


 スターティア中央広場。そこが待機ロビーになっていた。


「先輩、名前がそのままじゃないすか。」


「面倒だからそのままにした。」


「なんつうか、先輩らしいすね。」


 これからの予定を和也こと【ジェイド】に聞こうとしたら、突然空に巨大なスクリーンが出現した。

 一方、現実世界でもあらゆる配信媒体をジャックし【AWO】の世界が配信されていた。


『レディー――――――スア――――ンドジェントルメン。これより、神々が贈る新たなるエンター――――テイメントを開催いたしま~す。』


 スクリーンに写し出された人物はピエロのマスクを被りおどけていた。


『ただいま、【AWO】にログインしているプレイヤーは全世界で1,000万人に上りますが、この1,000万人の内新規プレイヤー10万人を仮想世界バーチャルワールドの【AWO】の世界へアバター見た目に肉体をリンクさせご招待いたしま~す。』


「はぁ?ねぇ先輩、あいつ何言ってんすかね?」


「お前がわからないのに、俺にわかるわけないだろう。」


『さぁて、プレイヤーの皆さんはこの意味がお分かりですか~?』


 アバターに肉体をリンクって……まさか!!


『は~い、賢い方は理解されたようですねぇ!そのと~りで~す。ゲームと違って復活リスポーンなんてありませ~ん。傷つけば血を流すし空腹も覚える。勿論、排泄だってありますよ~。』


 オイ、それじゃあまるで現実と一緒じゃないか!!


『現実と一緒…当然でぇす。これこそ、神々が考えた新たなるエンター――――テイメント。なんですから。』


 中央広場に集まったプレイヤー達が、口々にピエロマスクを非難する。


『貴方がたプレイヤーもこのゲームで楽しんでいるでしょう?ならば、我々、神も楽しんだって良いじゃないですか!』


 子供ガキの理屈じゃないか!!


『まぁ、そんな理由わけで10万人のプレイヤー達には、頑張っていただきましょう。

 そして、選ばれなかったプレイヤーの皆様には、申し訳ありませんがこちらから強制的にログアウトさせていただきます。』


 あまりにも理不尽じゃないだろうか。


『そういえばワタクシ、まだ名乗っておりませんでしたね。ワタクシ、神々より【宮廷道化師ジェスター】の任命を受けました、オンブズマンと申しま~す。以後、お見知りおきを。』


 そう言ってピエロマスクは恭しく頭を下げる。


『それでは、プレイヤーの皆さん生き残りをかけて頑張ってくださ~い。現実世界の皆さん、神々からのエンター―――――テイメントを楽しんでいただきま~す。』


 ここで、俺はオンブズマンと名乗るピエロマスクに一つの疑問をぶつけてみた。


「なぁ、一つ聞きたい。俺達は元の世界に戻れるのか?」


『おっと、ワタクシとしたことが大事な事を忘れていました。プレイヤーの皆さんが元の世界へ戻れるのかと言えば、『イエス』で~す。

 ただし、今はまだ帰還方法については黙秘しま~す。帰還方法を知ってしまえばすぐに帰りたくなるでしょう?それだと視聴者から見て面白みにかけるじゃないですか~。』


 こいつ、性格悪いな。

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