第33話 決着
光が収まると神々しい光を纏ったセラフィムが不敵な笑みを浮かべながら佇んでいた。
『我を本気にさせたな? 後悔するがいい!』
「ブッ! なんかスーパーなヤサイ人みたいだな」
思わず見たことがあるフォルムに吹き出してしまった。これ大丈夫なのかよ。
『なっ!? 我を愚弄するのか!?』
「いや、してないって!」
笑いながら言うものだから説得力はないだろう。仕方ないじゃないか。なんか面白いんだから。
『ぐっ! 後悔するぞ!? セーラーフィームーハー!』
おいって。
「あっぶねっ!」
笑ってたら避けるのが遅れたわ。
後ろを見ると皆が笑いを堪えている。
早く倒そう。
「ブッ! おい! マセラ! 早くそのヤサイ人を倒してしまいなさい!」
ちょっと白いツルッとした人みたいな言い方しないでくださいよバカラさん。また笑いそうになるから。
「はぁい!」
セラフィムに向かって駆ける。
余裕で構えているセラフィム。
目の前まで肉薄すると首目掛けて抜刀する。
────ギィィィィンッ
傷が少しつくだけで全く切れない。
「切れません!」
一旦離脱する。
この状態じゃ俺の攻撃はカス同然だ。
「硬さが半端ないっす!」
「じゃあ、俺がやるしかねえか」
バカラさんが前に出る。
でも紙装甲なバカラさんが出て大丈夫だろうか。
「ワレが守ろう」
「俺もアイツの気を引くようにします!」
シルドさんが守る様なので俺も周りをチョコマカする事にしよう。
三人でセラフィムの元へ行く。
ご丁寧に俺たちが来るのを待っていた。
『ハッハッハッ! 来るが良い!』
「避けろ!」
俺たちが前を開ける。すると両手を広げていたセラフィムに氷のレーザーが着弾する。
────ドォォォンッ
シルフィがタイミングを見計らって撃ってくれたのだ。ナイスタイミングだシルフィと言う思いを込めてサムズアップする。すると、なんだかクネクネしてる。
「オラァ! 行くぞ!」
吹き飛んだセラフィムの後を追うバカラさん。
シルドさんもそれに続く。
『ふははははっ! なんのこれしきっ!』
突如飛び出してきた。
空を飛んでいる。そりゃ天使だから飛ぶんだろうなと納得するのと同時に思った。めんどくせえ。
こっちに攻撃しては空に逃げるヒットアンドアウェイで削られる。
「おいおい! どうしろってんだ!?」
バカラさんが攻撃するしかないが……。
「あっ! バカラさん、これ使ってくださいよ!」
俺が取った羽のアイテムがあった。
空を飛べるようになるアイテムだ。
「おぉ! よしっ!」
アイテムを手にして使用するを選択するとバカらさんに羽が生えた。
うーん。似合わない。オールバックでジャラジャラアクセサリ付けてる天使ってなんか斬新。
そこから追いかけっこが始まった。空の上でのレースだ。
「バカラさーん! こっちに誘導してくださいよー!」
すると少し動きが変わった。
右左と揺れながらこっちに誘導している。
「シルドさん、真正面から抑え込んでください!」
「任せろ!」
来た。
衝突。
凄まじい衝撃音が響き渡っている。
シルドさんが引きづられているがなんとかなってる。
俺はセラフィムの上に跳躍して蹴り落とす。
『グァァッ』
そのまま抑え込む。
もがくセラフィムに吹き飛ばされた。
だが、マセラさんが間に合った。
「くらえぇぇぇえ!」
────ズガァァァァンッ
セラフィムの体に突き刺さった。だが、まだ甘かったみたいだ。
『ふははははっ! まだまだぁぁ!』
起き上がったセラフィムに氷のレーザーが飛来した。
体に当たると凍らせていく。
「とどめだぁぁぁ!」
俺は凍ったからだを真っ二つに斬り裂いた。
『なっ! 我が負けるだとぉぉぉぉ!』
ダメージエフェクトが溢れ、消えていった。
ドロップは赤いガチャ箱が全員分だった。
赤はアクセサリである。
「よっしゃぁぁおらぁぁぁ!」
バカラさんが雄叫びを上げてる。
俺とシルドさんはペタンと雲に座って休んでいた。
疲労感が凄かった。最後のセラフィムは強敵だった。負けるかと思うほどに。だけど、やっぱりこのクランは強い。そう実感した。
「皆の勝利だな!」
「僕何もしてない」
「ワイもや」
アルトが拗ねているが、仕方ない。今回のセラフィムは強かった。戦えない者が前に出れば殺られていただろう。
「アルトもシルフィ守ってくれてたんだろ? 充分じゃん」
「そっか。うん」
「マセラ様、素敵です」
俺がアルトが落ち込まないように言った言葉をシルフィが褒めてくれた。なんだかむず痒いけど、間違いなくみんなで勝ち取った勝利だから。
「ワイは?」
「じゃあ、みんなでネムさんのとこで祝勝会しましょ!?」
「ねぇ、ワイは?」
「ギャハハハ! あそこは定食屋だろうがよ! まぁ、いいか! いくぞ!」
皆で現世エリアに下りると『膳』に来た。
ネムさんにいい報告ができる。
「ネムさん! 天国エリアクリアできました! 今日はお祝いなんです!」
「そうなの!? すごーい! みんな何にします?」
ネムさんが手を叩いてお祝いしてくれる。
幸せだ。
「マセラ、オススメは?」
「生姜焼きっす!」
「じゃあ、それ!」
バカラさんにオススメを聞かれて思わずネムさんが手作りできるやつを提案してしまった。
すると、ネムさんが耳打ちする。
「マセラさんのは、私が作りますね?」
ウインクして奥に消えていくネムさん。
心臓ヤバいんだけど。
「ギャハハハ! 見せつけてくれるじゃねぇか!」
「ワイ、ちょっと羨ましなってきたわぁ」
「ワレも」
あぁ。もう少しでリアルに連れて帰りますからね。ネムさん。
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