第7話 俺は正常ですよ
極一突のクランメンバーになった俺は早速現世ステージの攻略を開始することにした。
「なんかすみません。着いてきてもらって」
「いや、ええんよ。俺がいるとレアドロが多くなるからやな」
「おぉ。流石、LUK特化」
「ハッハッハッ! そうや。ワイを崇めるとええ」
ははぁと行って膝まづいてキンドさんを拝んでいると、周りから若干笑い声と引く声が聞こえてくる。
「ノリがええな。けど、恥ずかしいからやめてや。また動画アップされるで? この前のネムちゃんにプロポーズしてた動画はわろうたわ」
「えっ!? あれ動画撮られてたんですか?」
「そうみたいやで。まぁ、楽しかったからええやん。じゃあ、早速行こか」
「はい!」
今日は第二エリアに行く。
その前にスキルを取得することになった。
バカラさん曰く、キンドさんが適任なんだとか。
「スキル画面表示してみ?」
言われるがままにスキル画面を開くと取得できるスキルが無数にあることが分かる。
「このスキルの中から選ぶのって至難の業やねん。せやからみんな選択画面の上にあるスキルからしか選べてへんのよ。で、どうするかってぇと、検索ウインドウがあるんよ。ここに」
右上に小さな窓がある。
タップするとウインドウが開いた。
「ここに、AGIっていれてみ?」
言われるがままに入れると沢山出てきた。
疾走:一定時間AGIがあがるスキル。
攻取走拾:STRが全ステータスの三割以下の場合AGIを二割上げるスキル。
疾風怒濤:一秒間に自身が移動した速度によってAGIの値に秒速のメートル数を乗じた値がSTRの値に変換されるスキル。
ets……
多種多様と言った言葉がまさにうってつけ。こんなに色んなスキルの種類があるとは。
「どれを取ればいいですかね?」
「そりゃ、スキルポイントがどのくらいあるかにもよるだろ。AGIによってSTRが上がるヤツ取った方がいいと思うぞ?」
「ですよねぇ」
何個か選択して完了する。
これでかなり戦闘は有利になるはず。
まず、第二エリアに向かう。
第一エリアは魔物は出るが、通るだけだからさほど問題にはならない。
迫り来るホーンラビットとスライムを斬り倒していく。もちろんこちらはノーダメージである。キンドさんが急に無言になったので不思議に思っていると、口を開いた。
「前にAGI特化のやつ居たんやけどな、そんなにスムーズに動けてなかったんよ。なんか速さに振り回される感じで脳の処理が追いつかないみたいな。なんでマサラは普通に早く動けるん?」
「最初からそうだったんですけど、もしかしたら動体視力がかなりいいんですよ。この辺の魔物もプレイヤーの斬りかかって来る動きもみんな遅く感じるんです」
「何もんやマサラ。バケモンやないか」
キンドさんが呆れたようにそういい、何やらウインドウにメモを取っている。
「何してるんですか?」
「あぁ。団員の特徴を忘れないように書き残してるんや。ワイは戦闘ができんやろ? せやから後ろから指示出す時に参考にしようと思ってな」
そんな真面目な一面があるなんて意外すぎて面白くなってしまった。
「ブッ! 真面目っすね!」
「わろうたな!? お前にだけは笑われとうないわ! このイカレ頭が!」
「みんなそう言ってますよね!? 酷くないですか!?」
「そりゃそうやろ!? NPCをリアルに連れ帰って結婚しようなんて頭がイカれとるわ!」
俺を指さしてそう宣言するキンドさん。
「はははっ。またまた。俺は正常ですよ。願いを叶えてもらえれば可能なはずです。異世界への入口があるんです。逆もできるはず」
頭に手を当てて目をつぶり少しの時間クールダウンしているように見える。
「すまんかった。それぞれ目的があるんやもんな。否定する気はなかったんや。すまん」
「いえ。あっ、そろそろ第二エリアですね」
森を抜けた先には荒野が広がっていた。
岩がゴロゴロとあり生き物がいる感じがしないが。
ズンズン進んでいく。
「マサラ、そんな進んで大丈夫なんか?」
キンドさんの心配の声が聞こえるがそのまま進む。案の定、横からサソリが襲ってくる。
跳躍して肉薄し、ハサミの付け根を斬り、首らしき関節を斬り裂く。
レアドロのブラックスコーピオンのハサミが出てきた。
「ラッキー! 凄いですね! キンドさんのLUK!」
口を開けて固まっているキンドさん。
一体どうしたのかと思い、目の前で手を振る。
「大丈夫ですか?」
「マサラ。あんさん、なにもん? 今一撃やったよな?」
「いえ、二回攻撃したので正確には二撃ですね」
「今の一瞬で二回攻撃したんか?」
「そんなに驚くことですか? 第一エリアボスには一秒間に六回位攻撃しましたよ?」
キンドさんは頭を抱えている。
なんか変なこと言ったかな?
AGI特化ってそういうことでしょ?
「あんさんが常識ハズレなのはようわかったわ。超人やと言うこともわかった。リアルバレはしたくないと思うやろうけど、素性を知りたくなったわ」
「俺は隠してないから話してもいいですけどね」
「いや、止めておこう。なんかとんでもない爆弾な気がするわ」
キンドさんの勘は鋭いなぁ。
多分名前言ったら分かるだろうしな。
でも、リアルで集まるの楽しそうだな。
ゲームで人と繋がれた喜びが湧いてくるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます