第7話 犯される夜

 それから、タクシーに乗り、立派なホテルに連れて行ってもらった。

「このホテル? とても素敵。どの部屋なんですか?」

「いいから、ついておいで。」

「あ、この部屋。あれ、すごーい。こんな立派でおしゃれなんて楽しみ。」

「お風呂に入る、それともベットに行く?」

「酔っ払ったし、今日は寝る。」

「そう、じゃ、こちらにおいで。」

「わーすごい。このベット、ふかふか。嬉しいな。」

「かわいいね。」


 そう言って、男性は、美奈の上に乗っかってきた。美奈は何が起きたか、よくわからずに、なされるままにされていた。


「あれ、口が、あれ、あれ、口をつけるって何? うがうが。舌を入れてきた。息が苦しい。私、食べられちゃう? あれ、なんで、服を脱がすの? なんか両腕に包まれた。何をしているの?」

「気持ちよくさせてあげるよ。」

「気持ちよくって何? なんか、乳首揉まれてるけど、あれ、裸になっちゃった。なにやっているの? あ、おしっこ出るところ触られている。これって何? あれ、足を上げられた。なにやっているんだろう? あ、痛い。痛い。私の体に何か入れてる。何しているの?」


 美奈は、これまで、男女のことは全く情報を与えられていなかったので、何が起きたか、見当もつかなかった。痛いことだけで、何かわからず続き、最後には涙が出ていた。


「最初だったんだね。痛かったかい。いずれ、慣れるからさ。僕は、とっても気持ちよかったよ。はい30万ギャラ。お風呂入って、一緒に朝まで寝よう。」


 美奈は何が起こったか分からなかったけど、お風呂に入って、足を動かすたびに、あそこが痛い、痛いと思いながら、ぎこちなく歩いてベットに行き、ベットで一緒に寝た。


<満足だ。やっぱり、初めての子って、犯したという感覚も味わえるし、血が出ることで征服感もあるし、最高だね。次もこの子なら、縄で縛って、鞭打ちでもしたら、もっと燃えるな。>

<本当に、発想が犯罪者のようよ。そんな悪いことばかりしていたら罰を受けるわ。見てなさい。

 でも、言わんこっちゃない。まあ、今日は子供できる可能性は低い期間だし、大丈夫だろう。気をつけてね。

 でも、完全に女として、男とエッチしちゃったね。痛いとか、分からないということだけで、男どおしでエッチしたという気持ちはなさそうだけど。もう男性ホルモンとかないんだろうね。でも、最初のエッチって、本当に痛んだよね。泣いてたし、かわいそう。でも、そのうち、男に抱かれたくなるさ。当面は我慢だね。>


 朝を迎え、お金をもらって、ぎこちなく歩いて、あの怖いおじさんにお金を渡した。


「はい確かに。では3千ギャラだ。これで、美味しいものでも買って食べな。」


<こいつ、股が痛そうで、歩き方もぎこちないし、初めてだったみたいだな。もう少し、チップをあげてやってくれって、頭の中で呟く方がいいな。>


「待ちな。今回はここ来て初めてだから、もう1千ギャラをやるよ。これから頑張ってな。」

「ありがとう。助かる。」


 昨晩は、何が起きたかわからない美奈だったが、もらったお金でパンを買って、夜まで時間をつぶした。


<パンとかじゃなくて、もう少し美味しいもの食べてくれないかな。まあ、追加でもらっても、こんな小銭じゃ無理か。あんなに泣くくらい大変だったのに、おじさん、お金、少ないんじゃない。>


 そんな生活が半年は続き、美奈も、どんなことをしているのか、さすがに分かっていた。

「どうだい、上手くやっている? 男を嫌いになったとか。」

「先輩はどうですか? でも、そんなに気持ちいいんですかね。私は、クリトリス触られると少しは気持ちいいけど、膣に入れれらても何も感じなくて、何がいいんだろうって感じですけど。」

「女の感じ方は人それぞれだけど、男は単純らしいよ。ただ、入れて、動かしているだけでいっちゃうんだって。」

「そうなんだ。わかんないな。なんか、入ってくると、逆に冷静になっちゃって、何やってるんだろうって思うことがほとんど。」

「女は気持ちが大切らしいけど。」

「どういうこと?」

「そのうち、わかるよ。ところで、美奈、あんたはどうしてここにいるんだ。」

「私は事故にあって、入院して回復したけど、病院のお金がなくてここに来たんだ。」

「それは災難だったね。でも、なんか真面目に頑張ってるのはすごいよ。私は、ここ長いけど、いいことないから、人生、考え直そうかなって。」

「でも、既に借金があるから、ここから出られないんですよ。」

「大変だね。まあ、頑張って。いずれにしても、子供できないようにするのが大事だよ。できちゃったら、下ろせとかなって、体が傷ついちゃうからね。」

「はい。いつまでか分からないけど、まだまだ頑張ります。」

「若いって、いいね。」


<私は、幸せな家庭だったから、よくわからないけど、どこの国でも、どの時代でも、売春宿の女の会話って、こんな感じだろうね。でも、借金なんかないんだから、あなた、利用されただけだし、いつでも出ていっていいんだよ。こんな劣悪な環境で、体とか壊れたら、こっちが迷惑なんだし。>

<あんたも、こんな子の守護霊で大変だね。私が憑いている女は、もう40歳になったけど、もうこの年齢だと客がつかなくて、儲からないって臓器売買とされて殺されるんだ。売春宿の女の哀れな末路だね。そりゃそうさ、この国だったら普通だけど、40歳にもなれば胸だって垂れちゃうし、男も、若い子の方に行っちゃうよ。私も、だいぶ楽しませてもらったから、そろそろだね。あと、どのぐらい、お前の顔を見れるかなって。>

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