第5話 退院
「どうだい。最近は、体調はいいかい。」
「おかげさまで。私、隆って呼ばれていた記憶があるのですが、あれは勘違いなんでしょうかね。私の名前はなんなんだろう?」
「そういえば、言ってなかったね。持ち物の中に、本があって、ほとんどが焼けていたけど、そこには、美奈って書かれてたから、美奈さんだと思う。(嘘だけど。)」
「そうなんですね。いつも、ありがとうございます。」
「今日は、嫌な話しをしなければいけないんだ。」
「え、なんですか?」
「君は、この病院に3年いたのだが、その費用は当病院が負担してきた。かわいそうだと思ったからね。でも、既に1億ギャラ(日本円で1,000万円)になっており、もう限界なんだ。そこで、私の知り合いのところで働いてほしい。既にそこから8千万ギャラをもらったので、君には断ることはできない。申し訳ない。」
「いえいえ、私のために2千万ギャラも負担してくれること感謝です。どんな仕事なんですか? 私、16歳なんで、本当にその仕事ができるかなって不安で。」
「どんな仕事かは、行ってから聞いてもらいたい。でも、君で十分できると聞いている。もう1つ、お願いなんだが、もしかしたら嫌な仕事かもしれないが、逃げ出さないで欲しい。そうすると、私達が、もらったお金を返さないといけないので。本当に申し訳ない。」
「こちらが悪いんです。もちろん、頑張ります。」
「じゃあ、明日、連れていくね。(もう実験は終わりだから、これ以上いても一文にもならない。売春宿に売っぱらったことは今はいえないが、これで元が取れて、実験もできたから万々歳だ。せいぜい、頑張ってくれたまえ。)」
<本当に馬鹿なやつだな。こんな奴だから、人体実験されて当然だ。>
<あなたも、これだけのことさせておいて、自己弁護する思考回路はずば抜けているわね。このドクター、警察に捕まっちゃえばいいのよ。そう、警察の守護霊にお願いするのはいいわね。あなたが憑いている人の得点になって、美味しいもの食べられるのよとか。>
<よせ、よせ。まあ、警察にも会えないと思うけど。>
<ところで、隆、あなた、また騙されている。本当に、呆れるほどお人好しね。あなた売られるのよ。それも、男のおもちゃとして使われるために。子供とかできちゃって、産む時に死んだりしないでね。あなたを買う奴の守護霊には、私から喝を入れてやるから、大丈夫だと思うけど。>
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