弱者男性を必死で揶揄する、強者風弱者女性及び強者風弱者男性

エリー.ファー

弱者男性を必死で揶揄する、強者風弱者女性及び強者風弱者男性

「強者ってなんですか」

「なんであるかは分かりません。ただ、はっきり言って、名乗るだけ損です。ばれるだけ面倒です。弱者である方がいいです。というか、賢ければ強者でも弱者を名乗りたがるでしょう」

「強者を名乗る意味がないということですか」

「ほぼ、ありません。弱者ではないことを証明するのは、弱者の暴力の餌食になる可能性を高めます。また、弱者の暴力は現在において核兵器並みに協力です」

「お金や権力、派閥よりもですか」

「まず、お金の力はあらゆる項目において絶対値によって評価するべきです。また、権力や派閥という点で言うのであれば、弱者であるという権力と派閥を手にできるので強いと言えます」

「弱者男性、もしくは弱者女性になるべきということですか」

「いえ、敵に回すべきではない、ということです。厄介であるという意味です」

「強者を敵に回すのと弱者を敵に回すのであれば、どちらがより問題として深刻でしょうか」

「どちらも変わりません。どうであっても敵に回すのは得策ではない、ということです」

「ですが、弱者は強大なのですよね」

「現在は、という意味です」

「どういう意味でしょうか」

「弱者の強さは、強者の強さよりも、その場の状況や、人間関係、時代性にかなり影響を受けるものです。故に、使える時に使っておかなければ、消費期限が直ぐにやって来ます」

「出し惜しみをしている場合ではないということですね」

「まぁ、すべてにおいて言えることですがね」

「なるほど。では、強者としてはどう立ち振る舞うのが適切なのでしょうか」

「まず、弱者に擬態する。これにつきます。仮に弱者に擬態したくないのであれば、徹底して弱者と同じ土俵に上がらないということです」

「自分たちはその立場にはいない、というスタンスを貫くということですか」

「えぇ、その通りです。敵前逃亡を繰り返す、ということです。強者であるならば、金銭的な体力も権力的な体力もあるでしょうから、基本的に繰り返さなければキャリアに傷がつくことはないでしょう。小さな敗北など気にするべきではありません。大きな勝負で勝利すればいいのです」

「弱者は、強者とどのように戦うべきでしょうか」

「一つは、勝負の重要度をずらすということです」

「というのは」

「強者側にとって負けてもいい勝負を提示して、途中から勝たなければ破滅するような勝負に移行すればいいのです。こうなると強者側にとってポイントとなるのは、目の前の勝負の重要度を計測し続ける体力と分析力でしょう。ただ、強者と弱者であると、当然ながら弱者の方が圧倒的に多いわけですから、数の暴力で責める手もありますし、パターンは多いようにも思えます」

「結局のところ、どうなのでしょうか」

「おそらくですが、賢ければ強者でも弱者でも勝てますし、愚かであれば強者になっても弱者であっても負け続ける、という所ではないでしょうか。強者や弱者の定義が個人の能力以上に、社会的な立ち位置に依存している現状は、聖域もしくは空白が多い状態であると言えます。パターンが多すぎるために、人間が、社会が、常識が、処理落ちしやすいということです」

「なるほど、よく分かりました。本日は、弱者男性研究家、及び、弱者女性分析官、及び、強者風弱者男性愛好家、及び、強者風弱者女性スクール講師、及び、弱者風強者男性友の会の会長、及び、弱者風強者女性協会の牧師、及び、及び協会の副会長をされている。ええぇと、み、み、みみず、えぇと」

「水耳意味軸 煤耳見自見三耳太郎です」

「悪ふざけみたいな名前の変人がくっちゃべってました。本日はありがとうございました」

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