第2話

 四月三日 池袋 四神学園大学中庭 十二時五分


「完全に出方を間違えたな、俺たち」

 賢治は現状が簡潔にまとまった呟きを洩らした。入学式は十二時終了とのことだったが、新入生らしき姿は見当たらない。自分たちが入学した時のことを思い返してみれば至極当然。入学式は学内ではなく、大人数が入れる公共のホールを使って行われていたのだ。大きな学校なので、新入生の数は当然それなりに多い。本腰を入れて新入生を獲得しようとしているサークルは、ビラを持ってホールの方に向かっているようだ。

「確か、今週中はガイダンスとかが主で、新入生が学内をウロウロしてるはずっスよね。そういう子を捕まえたほうが、効率は良いんじゃないっスか?」

「できれば今日、いくらかはビラを配りたかったけど、この状態じゃ無理だよなぁ。仕方ない、明日以降にふらふらしてる新入生に声を掛けてみるとしようか」

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