第10話 戦闘と女神の力
というわけで、順調に進んで行ってようやく目的地に到着したわけだよ、
そこはとある洞窟の入り口で中に入ると大きな空間が広がっているのが見えたんだ。
そこには多くの仲間達が集まっていて、全員が揃っているようだったから声を
掛けたら皆が一斉に振り返ってきたのでびっくりしたもんだ。
何しろここにいる奴らは全て俺の知り合いだからな、そりゃ驚くってもんだろう。
しかもその数ときたら凄いもので、軽く見ても千人以上いるんじゃないかなと思ったほどだ。
何せこれだけ居るんだからね、そりゃあ圧巻とも言える光景だと思うのも無理はない話だろう。
実際俺も圧倒されちまってたしなぁ、そんな事を考えている間に向こうの方から話し掛けられた事で我に返ったって訳だ。
「おい! お前が最後だぞ早く来い!」
って大声で叫んできた奴がいたからそいつの方を見たんだけど、そこに居たのは俺の良く知る人物だったんだ。
そいつは背が高くてガタイが良くて見るからに強そうな男だったんだけど、実は昔馴染みというか腐れ縁みたいな奴だったんだよな。
名前は確かケンイチとかいう名前だったはずだ、確か名字の方は思い出せないんだよな。
何でだろうか……まあいいやそんな事よりも本題に入ろうかと思うんだが、
さっきあいつが呼んでたのは俺の事なんだろうかと思って返事をすることにする。
どうせ行かない訳にはいかないからな。
なので覚悟を決めた上で前に進み出る事にしたんだが、そうすると周りの連中が騒ぎ出したんだが、まあ当然だよな。
なにせいきなり目の前に現れた訳だし、普通だったら驚いて騒ぎ立てるのが普通の反応だといえると思うもんなあ。
俺だって同じ立場なら多分そうなるだろうしな、だからこそ何も言えなかったわけだが、
何時までも黙っていてもしょうがないので用件を尋ねる事にしたんだよ。
取り敢えず挨拶だけはしておくべきだろうからな、一応礼儀というものを弁えてるつもりだからさ。
そうするとあいつが言った言葉に耳を疑ったよ、まさかこんな事を言われるとは思ってなかったからさ、
本当にビックリさせられたもんだぜ。
一体如何いう事なんだろうかと思ったが、その理由はすぐに分かった。
成程そういう事だったのか納得がいったわ、それなら仕方が無いよな、
確かに俺しか居ないだろうな、これは間違いなく間違いない話だと言えるくらいに確信できたからね当然だな。
「分かりました、では直ぐに向かいます」
そう言って返事をした後で向かう事にしたわけなんだが、この時はまだ知らなかったんだ。
これから起こる悲劇の結末を知る由もなく意気揚々と向かって行ったんだけれども、果たしてどうなることやらだな。
とにかく行くしかないわけだし行ってみるとするかね?
そんな訳で歩き出したんだが、途中にあった宝箱の中から金目の物を回収しながら進んでいったんだが中々に重労働だったな。
「ふぅ、やっと着いたか」
そう言いながら扉を開けたんだが、そこで目にした光景に言葉を失ってしまったよ。
何故なら目の前に広がる世界が余りにも酷い有様だったからだからで、
辺り一面焼け野原になっていて建物は全て壊されていたんだ。
しかもそれだけじゃないんだよ、至る所で煙が上がっていて火の手が上がっている場所もあったりするし、
一体何があったっていうんだろうか?
(おいおいマジかよ、これじゃあまるで戦争でも起こったみたいじゃないか)
そんな考えが頭を過ぎった瞬間、背筋がゾクッとするような寒気を感じたんだ。
嫌な予感がすると思った俺は咄嗟に振り返ってみたんだけど、そこには誰もいなかったんだよな。
ホッと胸を撫で下ろした後で再び前を向いたら今度は、反対側から気配を感じたのでそちらを見てみると
一人の男が立っていたのが見えたので身構えたんだけど、そいつは何もしてこなかったんで不思議に思ったんだよね。
「お前は一体誰だ?」
と、聞いてみたらそいつは答えたんだ。
「俺の名はジークフリートだ、お前の敵だよ」
と言ってきたので俺は驚いたね、まさかこんな所で会うとは思ってなかったからな。
でもまあそういう訳にもいかないんで取り敢えず戦う事になったんだが、向こうの方が強かったみたいで
あっという間に追い詰められちまったんだよな。
それでも諦めずに反撃を試みたんだけど、全く通用しなかったんだよなこれがまた困った事にさ。
もう打つ手が無くなってしまったから、どうしようかと思っていたところにマリーナが駆けつけてくれたんだよ。
これには本当に助かったと思ったし嬉しかったよ。
だけど、まだ安心出来ない状況だったからさ油断せずに構えてたんだよね。
「マリーナ、危ないから下がってて!」
そう叫んだんだけど、彼女は首を横に振って拒否してきたんだよ。
「嫌よ、貴方一人だけで戦わせるわけにはいかないわ」
そう言いながら俺の隣に立つと剣を抜いて構えたんだ。
それを見た俺は感動したね、だってさ、今まで守られる側だった彼女が俺を守ってくれる立場になったんだからさ。
「ありがとう、マリーナ、でも無理はしないでね」
そう伝えた後、二人で協力して戦う事にしたんだ。
最初は苦戦していたけど徐々に慣れてくると形勢逆転してね、最終的には勝つ事が出来たんだよ。
やったぜ!
その後で俺達は、勝利の喜びを分かち合った後で抱擁を交わした後にキスをしたんだ。
「マリーナ、愛してるよ」
「私も貴方の事を心から愛しているわ」
こうして俺達は結ばれたんだ。
「もっとキスして!」
「いいよ、何度でもしてあげるよ」
それから俺達は何度も何度もキスを繰り返した後、ようやく落ち着いた所で今後の事を考える事にしたんだ。
(そうだ、この国を出よう!)
そう思った俺はマリーナに提案してみたんだよ、一緒に旅に出ないかとね。
彼女は笑顔で頷いてくれたから、早速準備に取り掛かることにしたんだが、
その前に一つだけやっておくことがあったんだよね。
それは国王陛下への挨拶だ。
流石に何も言わずに出ていく訳にはいかないからな、ちゃんと別れの挨拶をしておかないと失礼になると思ったんで行くことにしたんだよ。
謁見の間に入るとそこには大勢の人達が集まっていて騒然としていたんだけど、そんな中で一人だけ椅子に座っている
人物がいたんだがそれが誰なのか直ぐに分かったぜ。
そう、この国の王様であるアルス王だったわけだな。
だから俺は近づいていったんだが、そこでとんでもない光景を目にする事になったんだよな。
「おい、どういう事だよこれは!?」
何と、アルス王が死んでいたんだよ。
しかも胸には短剣が突き刺さっていて明らかに誰かに殺されたような感じだったんだよな。
そこで俺は気づいたんだ、誰がこんな事をしたんだろうってな。
そうするとその時、後ろから声をかけられたので振り返ってみるとそこには意外な人物が立っていたんだが、
それは何とマリーナだったんだ。
驚いたぜ全く、まさか彼女が犯人だったなんて思いもしなかったから。
「マリーナ、一体どうして……」
俺が言い終わる前に彼女が言った。
「全て貴方が仕組んでいたこと、私の愛した勇者様は何処に行ったのでしょうか!?」
俺は呆然としていたんだが、そんな俺に構わずマリーナは言ったんだ。
「答えてくれないならそれでいいわ、自分で探すだけだから……さようなら」
そう言って立ち去ろうとした時、突然目の前に現れた男が声をかけてきたんだよ。
「待て!」
その声の主はなんとケンイチだったんだ、これには流石に驚いた。
まさかこいつが生きてるとは思わなかったからなぁ〜、
しかもこんな所に現れるとは思ってなかったからな。
「生きていたのか、ケンイチ?」
「当たり前だ、馬鹿野郎!」
そうするとマリーナが言ったんだ、信じられないと言わんばかりの表情で。
「なんで貴方が生きてるのよ! 貴方は勇者様に殺されたはずでしょう?」
そう言うとケンイチは答えたんだよ。
「あれは、偽物だ、俺の皮を被った偽者だったんだ!」
(マジか、じゃあ本物のケンイチはどこにいったんだ?)
そう考えてた時、別の声が聞こえた。
「残念だったね、君の目論見は全てお見通しなんだよ、
君さえ居なければ勇者様の肉体は僕のものになるはずだったんだ、だから諦めて死んでくれないかな?」
俺はその言葉を聞いて戦慄したね。
そして、俺はある仮説を立てたらマリーナが言ってきたんだ。
「もしかして貴方の言ってるのは本当なの?」
(おいおいマジかよ)
と思いながら俺は考えたんだけど、いくら考えてもわからないからな仕方ないよなということで本人に確かめる事にしたんだよ。
「なあ、一つ聞いてもいいかな? お前さっき言ってたよな?
この体の持ち主は死んだって、じゃあ俺の中に入っているはずのこの体は一体何なんだっていう質問だ!」
そう尋ねるとマリーナは答えた。
「そ、それは……」
口籠っている彼女に変わって今度はケンイチが言う事にしたようだ。
「簡単な事さ、君の中に入ってるはずのこの体は既に死んでいるという事だよ、
君の身体を奪ってから しばらくしてから殺したからさ、つまり君は死んでるのも同然なんだよ」
その言葉に俺は絶望した。
(ああ、そうかこいつが言っていた事はやっぱり本当だったんだな)
そう思うと途端に力が抜けた感じがしてきて、立っている事ができなくなって床に座り込んでしまったよ。
まあ仕方ないとは思うけどな、それよりも先に聞きたい事があるんだから。
それについて尋ねてみたんだが、返ってきた答えは意外にもあっさりとしていたな。
何でもマリーナの身体に入っていた俺の魂を体から引きずり出して、
新しい身体に入れ替えるという計画だったらしいんだよね。
それで、準備ができるまでの間彼女を殺さなかったという訳なんだよ。
(そういう事だったのか……
というか一体どうやってそんな事ができたんだろうか?)
そんな疑問が浮かび上がってきたんで思い切って聞いてみたんだよ、そうしたらあいつら答えてくれたんだけど、
どうやら、女神の力を利用する事で可能になったらしいんだよね。
(何それ凄すぎなんですけど、流石女神様だな)
とか思いながら質問してみたんだけど、意外な答えが返ってきたから驚いたよ。
何でも女神の力を手に入れるには、女神様の身体に触れればいいらしくてね。
そうすれば自動的に手に入れられるらしいんだ!
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