美少女育成ゲームなのに、ハードモードなので課金アイテムでなんとかします。

イコ

序章

死神ダーク

 工場勤務で手取り二十万の薄給ではありますが、私にとっては十分な稼ぎです。

 毎月五万を貯金して。

 十万円で家賃や光熱費、保険料や日用品を払って。

 残った五万で食費などの生活をしております。


 趣味はテレビゲームです。


 決して上手くはありませんが、違う世界の自分を演じるのが好きでした。

 だから、貯金しているお金を使って高スペックハードを購入するのも惜しくありません。

 ハードを購入してからは、ゲームをする日々が、私の生き甲斐であり癒しです。

 独り身ではありますが、幸せだと感じる生活を送っております

 

 ですが、イライラとしてしまうことが起きました。


「どうして! ダーク君は嫌われているのですか?!」


 私がプレイしているゲームは、《マギガンクライシス》と言われる。

 SFと魔法を合わせたファンタジーを融合させた世界を舞台にした美少女育成ゲームです。

 一通りのキャラクターを攻略して、最後に登場した隠しキャラ。


 ダーク・ネクスト男爵子息君。


 彼の見た目は、


 ガリガリに痩せていて骨が浮いた体。

 目は窪んでクマが常にできている。

 病的に痩けた頬。

 お世辞にもイケメンとは呼べない容姿。


 言動は、

「ぼっ、ボクは悪くない。君らが弱いからだろ!」

「ボクは最強なんだ! お前らの方が間違っているんだ!」

 弱いのに卑怯な手を使って、人のせいにする言動。


 だからこそ、ダーク君は男性ばかりのクラスで邪魔者扱いされていた。

 

 ですが、ゲームをプレイしている私は知っています。

 ダーク・ネクスト君は、他のキャラには存在しなかった夜間訓練という名の自主練を頑張っているのです。

 誰よりも努力家で、最初は低い能力でした。

 それを克服するために二倍の努力をする子でした。

 持って生まれた弱さを克服しようと抗う子なのです。

 弱いことに抗っているダーク・ネクスト君を私は応援したい。


 《マギガンクライシス》というゲームは。

 ゲームをプレイする際に四つのゲームシステムを楽しむことができます。


 ・本編のシナリオを進めるメインストーリー。

 ・女性を選択して、《マギガンクイーン》を目指す《マギガングランプリ》。

 ・男性を選択して、《マギガンサポーター》を育成する《マギガンスクール》。

 ・自分の育てた、キャラを組み合わせて戦わせるネットプレイ。


 男女キャラをそれぞれのゲーム性で育成して、披露する場所が用意されているのです。

 男性サポーターの能力を高めることで、女性キャラの能力を底上げして、より高めることができる。


 ゲームは男女どちらからプレイしても楽しめるようになっています。

 ゲーム内容は、魔導銃マギガンと呼ばれる武器を使ったシューティングスポーツの勝利を目指していくのを目的としています。


 その中で友情や恋愛を楽しむというわけです。


 男性を選べば、女性選手たちのサポーターとして、女性キャラのサポートや訓練指導、指示などを出して試合を勝利に導くお手伝いをします。

 女性を選べば、一プレイヤーとして、《マギガングランプリ》の試合を経験できるのです。


 個性豊かな登場人物たちによるストーリーは魅力的でした。


 一人一人の人間ドラマが面白いのです。


 男性育成パートではやり込み要素も用意されていて、育成の仕方によって成長する方向性が変わっていきます。

 ネット対戦では、男女それぞれの育成ゲームで育てた自分のキャラを選択して、組み合わせて戦うのです。

 育てたキャラとランキングを駆け上がっていくのはとても爽快でした。


 そして、自分が好きなキャラはカスタムして、個性を出すこともできます。

 戦闘スタイルだけでなく、服装や髪型、アクセなども変更して自分の好みのキャラまで作れてしまう楽しみもあります。


「それなのに、どうしてダーク君だけは、全然変更できないんですか? むし

ろ、怪しさばかりが増していくではありませんか」


 一通り全ての攻略終えました。


 そして裏モードと言われる、超ハードモードとして現れた男性キャラ。

 それがダーク・ネクストでした。

 このゲームは残酷で、《マギガンスクール》は二部構成になっていて。

 二年間の学園パートと、三年間の《マギガングランプリ》パートに分けられています。


 サポーターの男性は、スクール在学中に女性から選ばれることが必須になります。そのためスクール時代にスキルや基礎能力を向上させ、さらには男性としての魅力をあげて、女性に認められる必要があるのです。

 

 《マギガングランプリ》期間である、三年間で三人の女性に認められる必要があります。

 三人を、自分の選手として《マギガングランプリ》に出場させなければゲームオーバーになります。


 そのためには男性側に魅力というステータスが存在するのですが。

 ダーク君の魅力は最低ランクのGスタートです。

 女性から見た時の魅力無しって、酷すぎませんか? 

 ダーク君が現れたとき、私は歓喜しました。


 自分にそっくりだと思うキャラが出てきたからです。

 私は仕事と自宅の行き帰りだけの生活。

 帰ってからはゲームだけが生き甲斐。

 食事は最低限しか摂らないため、体はガリガリに痩せて、目が窪んでおり、頬は痩けています。


 今回は八月にある長期お盆休みを利用して、SG魔法美少女育成ゲーム《マギガンクライシス》に没頭しようと思っていました。

 王道ルートと呼ばれるカイザー王太子ルートから全てを攻略していきました。

 

 やっと裏ルートに辿り着いて、自分の好きなキャラを登場させたのです。

 ダーク君に親近感を覚えて感動していたところ。

 何をしても成功しません。

 女性とのイベントで現れる選択肢も……。


「ふん、お前の言うことなんて聞くかよ」

「はっ? ボクを選ばない? あの女はバカだな」


 選択肢が壊滅的です。


 魅力Gなのにいうことも女性に嫌われる言葉ばかりです。

 せめて、男性キャラたちとの友情パートが上手くいけば、他のキャラのスキルや練習方法を教えてもらえるようになります。


 なのに……。


「おい! ダーク! 調子に乗るなよ」

「ボクは調子に乗っていない。ボクは天才なんだ!」

「ウルセェよ。卑怯な手ばっかり使いやがって!」


 クラスメイト十一名から、ダーク君は嫌われています。

 友情好感度すらGです。


 どうやって攻略しろというんですか?


 このゲームのメイン主人公的存在のカイザー王太子は、金髪碧眼のイケメンです。全女性キャラを攻略することができる魅力SSSです。

 イケメンチートキャラで、ハーレムルートまで用意されております。


 他の男子ルートとの友情イベントなども、ボーイズラブっぽくカップリングなどが話される女性ファンの人気があると聞きました。

 カイザー王太子は高スペックで、女性選手を育てるための場所なども王から与えられたトレーニング環境が整えられています。

 全て彼のために有利な育成手段が用意されているのです。

 

 これは初心者の方でも簡単に選手を育成しやすいように用意されたキャラだと理解できます。

 そのため初心者として、このゲームを攻略する人は大抵が、カイザー王太子を選択して女性を攻略していきます。


 逆に女性キャラなら、王子様キャラでイケメンのカイザー王太子にサポーターになってもらって育成をした方が早いのです。


 クラスメイトの中には極貧騎士キャラもいるのですが、彼をプレイした際にお金が少ないため、トレーニング環境が劣悪。バイトと併用なんて要素まであります。

 なかなかにハードに見えますが、彼の見た目は薄幸の美年で、魅力はSもあるのです。そのため女性人気はカイザー王子に次ぐ二位です。


 カイザー王子の金持ちボンボンに対比して、貧困騎士も人気だったりします。

さて、話しを戻しますが。


 全員から嫌われるダーク君。


 彼の異名は死神ダーク。

 

 男性からも女性からも嫌われて、最低最悪のハードモードでスタートします。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき


どうも作者のイコです。


新作は、SF美少女育成ゲームを舞台にした物語です。


できるだけ、コミカル、シリアス、ラブコメ、ザマァなどの要素をわかりやすくかけていけるように書いていきます(๑>◡<๑)


面白いと思っていただけたら評価をお願いします。

感想や誤字報告もいつも通りお待ちしておりますw


どうぞ、皆様の暇つぶしになっていただけると嬉しく思いますので、お付き合いいただければ幸いです。

どうぞよろしくお願いします。

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