チート能力なしでも生き残りたい!

@23-4649

転生…?

「あ゛ァッ…⁉︎」


突然のおなかの痛みに目が覚める。


状況を理解しようにも目が開かない。


するともう一度強い衝撃が来た。


それと同時に何か声のようなものが聞こえた気がするが痛みのせいでそれどころではなかった。



痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


その衝撃に耐えきれず俺は気絶した。


















それからしばらくして意識が回復した。


あの衝撃からどれくらいたったのかはわからないがいまだにおなかには痛みが残っており体を少し動かしただけでもものすごい衝撃がくる。


何が起きたのか目を開いてみるがぼやけていて何も見えない。

暫くぼーっとしているとだんだんに目のピントがあってきて目が見えるようになっていた。


最初に見えたのはボロボロの天井だった。

ところどころに穴が開いており、穴からはとてもきれいな星空が見えている。穴が開いていない天井ももともとはまっさらな白色だっただろうに現在では茶色や黒に変色してしまっている。



「ここは……?」


見知らぬ景色に動揺しながらもここに来る前のことを思い出そうと頭をひねる。高校の帰り道に本屋に寄ったことまでは覚えているのだがその後が思い出せない。誘拐でもされたのだろうか?しかし、体に痛みを感じるだけで拘束などは一つもされていないようだからその線は低いだろう。とりあえずこのままでは何も情報を得られないため無理をしてでも体を起こしたほうがいいだろう。


「ッあ…」


体にものすごい衝撃が走るが先ほどよりは落ち着いたので気にせずに体を起こした。

周りには誰もいないようで視界に入ったのは人気のなく寂しさを感じるボロボロの教会のような場所だった。壁は崩れ窓は割れ、床には穴がいくつも空いている。



「廃墟?日本にこんなところがあったのか?…あれ?」



思わず疑問がこぼれたところでふと違和感を覚える。

高い。自分の声がいつもより高く感じるのだ。声変りをしていない子供の声。それが俺の口から出ていた。


「な、なんで…俺から子供のような声が…?」


俺は驚いてしまい後ろに後ずさる。するとカツンと音が鳴り何かが手に当たった。見てみるとそこには袋が落ちていたので手にとって中にはいているものを確認しようとした。



中に入っていたのは持ち手がボロボロのナイフらしきものだった。刃には布がまかれていたようだが、袋から取り出す際に外れてしまった。持ち手と比べ刃の部分はとてもきれいで反射鏡のように星々の光を反射しており、意図せず「綺麗…!」と言ってしまうほどには幻想的だった。だからこそ、俺は思わずナイフをのぞき込んでしまった。


「は?」



ナイフは俺によって星の光を遮り普通なら俺の顔が写るはずだった。しかし実際に移ったのは蒼い髪の毛の黄色い目をした少年だった。


ナイフにうっつた少年は俺が口を開けたり、閉じたりすると同じ動きをした。つまりこの少年は俺自身ということになる。


混乱しながらも俺はある一つの結論に至った。



「まさかこれって、転生ってやつっすか?」



誰もいない廃墟に俺の声が木霊した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

チート能力なしでも生き残りたい! @23-4649

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ