【完結/全18話】マッスル聖女は年下の旦那様をゲットしました
たおたお
第1話 女神様の祝福
アミールと並んで教皇様の前へと進む。街の古びた礼拝堂ではアミールのお母様と兄夫婦、それに珍しく正装した兵士たちとその家族が二人の姿を見守ってくれていた。以前いた街、エクルストンで仲の良かった同僚の女子たち数名もいる。女神の化身たる教皇様が皇都ベレスフォードから遠く離れたここ、メイヨール領にまで来てくださることなどまずあり得ないことなんだけど、実際に今目の前にその神々しいお姿がある。
「アミール・メイヨール、汝はナオミ・ウィンスレットを妻とし、その命ある限り共に歩むことを誓うか?」
「……はい!」
緊張しながら彼が答えると、教皇様は薄く微笑まれた。その笑顔の神々しいこと……教皇様は私にも同じことを聞かれ、返事をするとまるで娘を慈しむ母親の様な眼差しをくださる。
「おめでとう、ナオミちゃん。あなたの花嫁姿を見られただけでも、ここへ来た甲斐があったわ」
「有り難うございます、教皇様」
「これからはナオミ・メイヨールとして、そしてこの街の聖女として役目を果たしなさい。ああ、ついでにエクルストンの方もね」
「御心のままに」
最初にこの街に来た時は聖女すらいなくて結婚式も挙げられない状態だったけど、紆余曲折の末に最高の形でアミールと結ばれた。アミールは私よりも五つ年下の旦那様。まさか自分が年下の彼と結婚するなんて思ってなかったし当初は大丈夫なのかとも思ったけれど、今は彼のことが愛おしくてたまらない。前世では気が付いてなかったけれど、私って年下好きだったのか! いや、鍛え甲斐があるから……かな? 少し気が弱いけれど優しくて、思いやりのある彼のことが大好きだ。おっと、教皇様の前でこんなことを考えていてはダメね。きっと見透かされてしまうから……いや、ちょっとニヤニヤされているので、もう気付かれているのかも。
夫婦の誓いを終えて礼拝堂を出ると、通路を挟む様に皇都から来た兵士たちがズラッと並んでくれていて、その後ろには多くの人々。もう街中の人が駆けつけてくれたのでは!? と思えるぐらい沢山の人と歓声で溢れていた。ここに来る前にいたエクルストンに比べれば街も小さいし人も少ないけれど、だからこそ皆温かくて本当に祝福してくれているのが伝わってくる。
教皇様に祝福頂いて結ばれた私たちは誓い通り末永く一緒にいるだろうし、またそうなる様に努力しなければ! ここまで来る道のりを思い返すと……そう、アミールと出会うことになったのは、今から三ヶ月ほど前のあの事件がきっかけだったのよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます