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勝利だギューちゃん

第1話

教室の片隅で、いつも黙々と本を読んでいる男の子がいる。

誰とも話すこともなく黙々と、本を読んでいるだけ。


いつしか。誰も彼に興味を示さなくなった。

彼も、気に留めていないようだった。


私はそんな彼が気になって、思い切って声をかけてみた。


「何読んでいるの?」

「本」

「本は、わかっているけど、何の本」

彼は黙って表紙を見せる。


「何?」


その本は初めて見る本だった。

題も作者も、私は知らなかった。


「ごめん。その人知らない」

「知らなくて当然」

「新人さん?」


彼は頷くと、またその本を読みだした。


私はその本の事が気になって仕方なく、すぐにスマホで検索した。

何件かヒットしたが、その本とは違うみたいだ。


「ねえ、その本貸してくれない?」

ダメ元で頼んでみる。


「いいよ」

彼は快く貸してくれた。


私は帰宅して、すぐに読んだ。

いつの間にか私は、その本の世界に引きずり込まれていた。


何だろう?

この気持ち・・・

とても、心地いい。


でも、何だろう?

先が見えてこない。


何だか明晰夢を見ているみたいだ。


そうだ。

この先は、私が作ろう。


この世界の主と、私はなるのだ。


「彼女も入り込んだか」

僕は、彼女の家の外から彼女の自室を眺める。


何人目だろう?

僕の作った世界へと、入り込んだのは。


これでいい。

後は任せた。


さてと・・・

次はどこへ行こうかな?

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