スピリット地獄

 一度現実世界に戻って、3人に散々吸い尽くされたフグオだったが気を取り直して、恐怖の館の2階層へと向かった。一階層のアンデッド地獄を突破したら今度は2階層なのだがこちらはゴースト・レイス・スピリット・人魂君・火の魂ちゃん・鬼火などの幽霊系が山のように出てくる。特に厄介なのは人魂君と火の魂ちゃんの害悪コンビである。状態異常の技しか使ってこないのだが、最大HPの10%のダメージを与える毒や火傷。最大MPの10%を削る呪い。力と賢を0にする脱力。防御と魔法防御を0にする脆弱。素早さを0にして動きを止めるストップ。運を0にするアンラッキー。全体に様々な状態異常を引き起こすランダム。さらにコイツらは4匹づつの8匹出現が確定で、行動ルーティンに同じ技を使用しないというのがあって、1匹目が毒、2匹目が火傷、3匹目が呪い、4匹目が脱力、5匹目が脆弱、6匹目がストップ。7匹目がアンラッキー。8匹目がランダムを使ってくる。即ち、全ての状態異常を対策してない限り状態異常地獄となり毒や火傷の固定ダメージでやがて命を失う。フィアーホールの2階層が1番、プレイヤーに恐れられているのだ。今回、そんな2階層で狙うべき魔物は、ゴーストである。このゴースト出現率が低くイタズラ好きとして有名なのである。そして、恐らくこの手の魔物は連れ去られた使用人だろうと思っていたのだが。

「ヌルヌル、ベタベタ、あそぼ」

 突然現れたゴーストに下半身を異様に撫でられた感覚があり、草のパンツを汚してしまった。

「キャハハ。ざーこ、ざーこ。もっとだす?」

 こんな感じで先程から突然現れては下半身を執拗に虐められて、その都度、僕は情けない声を出して、濡らしていた。

「うっ卑怯だぞ。見えないところからコソコソと正々堂々戦え」

「キャハ。しばらく、お客さんきてくれなかった寂しかったの〜。お兄さん、アッチはすごく立派だし〜。イタズラしないと損だよ〜」

 ところどころ拙い感じだが言葉を話すゴーストにやられっぱなしである。

「カレピッピのマジヤバ汁、マジ勿体無い」

「御主人様の強烈な匂いで、発情してしまいそうです」

 こんな感じでチョトミとピグミィがさっきから顔を赤らめていて、全く戦力になっていないし、マヤとハルはこの通り。

「ガクガク。ゴースト怖い。フグオ、早くなんとかしなさいよ。そのゴースト女なんでしょ!」

「そうよそうよ。早くなんとかしてよフグオ君」

 端っこの方でマリンに隠れて、僕に文句をいってくる始末だ。なんとかできるならなんとかしている。だがこのゴーストは俊敏なのだ。また下半身に触れられた感覚がある。

「うっ」

「うっ。だってさ〜。ほらほら、早く見つけないと。ざーこ、ざーこ」

「さっきからそんな攻撃ばっかり恥ずかしくないのか!」

「お兄さんが気持ちよさそうな顔するのがワルイ。そんな顔見てたら、イジメたくなっちゃうもの〜」

 声だけは聞こえるが姿が見えない。気を抜けばどこからか下半身にハードな攻撃が加えられる。

「うっ」

「お兄さん、隙だらけだよ〜」

 何度目かで僕はムカついて、霊視を使って、ゴーストの存在を可視化したのだがその姿が。

「もう怒ったからな。覚悟しろよ霊視!」

「キャッ。何その光。いやァァァァァァァァ」

 現れたその姿は、髪をツインで結んで、あどけなさの残る幼い容姿にランドセルを背負っているかのような小さな女の子だった。

「もう酷いじゃない。私たちに光は弱点なんだからね!もう少しで消えちゃうところだったよ〜」

「・・・・・・。マヤ、今回は流石に無理じゃないかな?」

「えぇそうね諦めるしかないわね」

「ちょっとちょっとちょっと何よ!また私を子供扱いして!これでも20歳です〜。20歳超えてます〜」

 えっ?嘘だろ。いやいやそんな冗談。嘘だよな?

「いやいや、それは無理があるって。流石にフグオ君もこんな小さな子にね」

「そんな目で見んな!ロリコンじゃねぇし」

「へぇ、あの手をウラメシヤ〜にして、布被ってるような魔物がこんな小さな女の子だったなんて。面白すぎる。ほんとフグオのパーティに入って良かった〜。毎日が楽しすぎるよ」

 ナナはこんな感じでホラーは全然行ける感じで、マジマジと見つめてる。

「あったま来たんだから。幼女幼女って。馬鹿にして、これでも看護師なんですからね。このナイスボディを見なさいよ!」

 何を見てナイスボディと言ってるのだろうか。胸はペッタンコで、お尻も小さい女の子だ。おまけに身長も140センチあるんだろうか?

「哀れみで見るな!このこのこの。こうなったら私の色香をとことんその身体に教え込んであげるんだから」

 いや、そんなこと言ってもフェロモンとやらも全く感じないし、姿が見えないから何度も触られて反応してただけで、今はこの通り萎んでしまった。うん。だって僕は幼女趣味ではないからね。流石に今回ばかりは無理だ。こういう人語が喋れるのは口からでも良いわけだし少し飲ませてとっとと終わらせよう。

「まぁ、勝負したいっていうならこちらとしても好都合だ受けてやる」

「フン。絶対に後悔させてやるんだから。覚悟してなさいよ」

 こうしてゴーストとのバトルが始まった。

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