死後、あなたを待っています。〜change〜
@Yushi1822
第1話 煽り運転と死後
高速道路を走る白い一台の車。時速90キロまでという表式があるのに明らかにその白い車は120キロは出ていた。
車線変更もずっとしている。まるで煽り運転や危険運転の模範だ。
渋滞にはまると白い車はクラクションをこれでもかと言うほど鳴らす。
事故があったのか、しばらく一車線だった。
前の車がノロノロと運転する。白い車の中にいる人は怒り、後ろにいるにも関わらず、クラクションを鳴らしたり斜行したりする。
二車線になったところで前の車を抜かし、煽り運転をする。
次第にハンドル操作ができなくなりハンドルが定まらなくなる。右カーブをするところでカーブ出来なくりそのまま白い車は突っ込んだ。
白い車は燃え、その燃えた車を棒立ちで運転手は見ていた。
手を見ると透けていた。死んだとわかったみたいだ。
白い車の運転手は『相葉 詩月(アイバ シヅキ)』、プロサッカー選手だった。
詩月、たくさんの悲しみと後悔を抱えながら家族の元でそっと居た。
ニュースではほぼ全て詩月の話題だった。
『煽り運転のプロサッカー選手死亡』
家族はマスコミに悪くもないのに謝り沢山誹謗中傷を受けていた。
詩月は反省のために何をすべきかと考えていたが、だんだん日が過ぎていった。
44日、自分の仏壇を見て哀れだと思いながら消えてく足を見て、反省もできずひどい人生だと思っていた。
45日。青空の下、1人、消えていった。
眠たい目を開けた詩月は真っ白な空間にかすかに聞こえる風の音の中にいた。
少し解釈に時間がかかったが、本当に死んでしまい、あの世に居ることを実感した。
そう、ここはあの世。人が死んだら一度は来るところ。
「ヒィ!」
急に詩月の座っていた底が抜けた。詩月はびっくりして尻餅をつく。
目の前には赤い部屋、大きな本棚、190cmはある人影が見えた。
「相葉 詩月…いや、魂番号8億4163万2638…」
誰だかはわからないが、とても低い声で呼ばれる。
「だ、誰…僕のこと呼んで…逃げなきゃ…」
詩月は立ち上がり逃げようとするが体が重く動けない。
動けたと思ったら目の前に巨大な体が近づく。
「私に近づくとはいい度胸だ」
詩月は全身が震えた。だがそこには少し安心感があり不思議な感覚だった。
恐る恐る巨大な人物を見てみると、そこには整った顔立ち、オレンジ色のウルフカットの髪型、赤い豪華な服装に金色のアクセサリーの数々。
最初は見えていなかったが、双子らしき子供たちも居た。
一言言うなら『イケメン』
「今は… 詩月 と呼ばせてもらおう」
そのイケメンは偉そうに言った。
「自己紹介が遅れた、私は『閻魔』と申す。今から詩月の裁判的なものを行う」
詩月は疑いながらも話を聞いた。
「疑うのはわかるが…あからさまに表情に出すのはやめてよw」
詩月は はっ とした表情で顔を少し赤らめる。
だが詩月は不思議に思った。自分はあまり顔に出ないと言われていたからだ。
疑っていた詩月だがここで確信した。この閻魔と名乗る人は本当に閻魔であり、考えていること等全て筒抜けだということに。
「わかってくれたなら結構。さて、本題に行こうか」
閻魔様は棚から分厚い本を取り、何ページかめくり読み出す。
少し頭を抱え、苦笑いをする。
「あぁ詩月、君はなんて勿体無い人間だったのだ…」
閻魔様は詩月の過去を読み始めた。もちろん全く同じだった。
「そして…大学の単位が取れなく、留年が確定し、高速道路のパーキングエリアで留年の電話をとって怒り狂った詩月は煽り運転で自爆する…と…哀れだねぇ、親御さんもどう思うか…」
詩月は目を逸らした。
「現実から目を背けるな。お前がしでかしたこと、この地獄で反省してもらおうじゃないか…」
自分でもわかっていたが、地獄行きだった。だが、反省もしていたことを知らないと思ったのか少し強気で閻魔様に言った。
「あぁ、受けてやろうじゃないか。早く連れて行ってくれ。
閻魔様は はっ としながら少し微笑み詩月を見つめた。
「君!合格だよ!」
詩月は訳もわからなかった。思わず「はぁ?」と言ってしまった。
それにもう地獄に行くしかないかと思っていた。
「詩月!君に二択の選択肢をやろう。一つ!地獄で苦しむぅぅぅ…一つ!自分が鬼になり悪を懲らしめる…さぁ、どっちがいいかい?」
詩月は最初意味がわからなかったが、だんだんわかってきた。
詩月の選択肢は多々一つだった。
「鬼になる。痛いの嫌だしね」
閻魔様は笑顔で詩月を抱きしめた。詩月は離れようとするがびくともしない。
「ありがとう〜!信じていたぞ!」
「わかったから離して…お願いだから…」
次第に苦しくなっていく詩月を見て閻魔様は手を離した。
「ごめんごめん、次は名前を決めよう!」
ノリノリな閻魔様はぶつぶつと候補を言っていた。
5分ほど考えて閻魔様は詩月に言った。
「アオリ!どうよ、私にしては考えたぞよっ」
「まぁいいか…」
少し呆れた表情だったが認めた。
「じゃあ詩月、鬼になるでいいんだよね。じゃあ呪文を書けるぞっ」
詩月は呪文とはなんぞやと思いながら聞く。
「鬼になぁれ〜♡」
安直だなと思いながら聞いてると震えがきた。
全身が震えに震え、立つこともできなかった。
1分経った頃か、自然に震えが止まってきた。
途端に、自分の額に違和感を感じた。
閻魔様が鏡を持ってきて詩月に見せた。詩月はのぞきこみ自分の姿を見てびっくりした。そう、小さい鬼のツノが生えていたのだ。
「不備は…ないね!じゃあ地獄の世界へ行ってらっしゃい!」
と、言ったタイミングで詩月のいるところの底が抜ける…
あとがき
はじめまして、「死後、あなたを待っています」のリメイク、作者引き継ぎを任されました【ゆし】と申します。
冬蘭とは”お友達”でございます。
僕はイラストをメインで活動していきたいので物語の更新頻度はかなり遅くなると思いますがよろしくお願いします。
Twitter(X)やInstagramができたらまたお知らせします。
まずは6話まで頑張ります!
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