エージェント二人の殲滅作戦
プニッチのGWL(グッドライトライフ)
#1 熱源放射は難しい
廃ビルの裏。
そこらじゅうにクモの糸が張っている。
横たわっているのは、俺が処理《ころ》した犯罪者だ。
「クロスです。本日、
俺は手早くそう告げると、本部との通信を切る。
犯罪者
この世界の人口の1%は、能力を持っている。
俺はそのうちの一人。
「クロス~、終わった?ボクもしごおわだよーっ。かーえーろーっ」
廃ビルの裏まで駆けてきたこいつもそのうちの一人。俺の幼馴染、ファイ。
一人称は「ボク」だが、女性である。
妹ではないが、ファイは一歳年下なので俺の妹みたいに思っている。
「はいはい…報告は済ませたのか?」
「もちろんだよ!」
「んじゃ、さっさと帰ってご飯でもーー」
その瞬間、俺の方に突如として弾丸が放たれ、そしてーーーー。
「とっ……溶けた……だと!?」
その声がしたほうを振り向くと、銃を構えた男がおどおどとしている。
気づいてなかったけど、奥にもう一人いたらしい。
一番奥じゃん。俺はこのまままっすぐ出れるけど、そっちの方が追い詰められてない?
「ああ。溶けたな」
「うんうん、溶けちゃったね」俺とファイが顔を見合わせる。
「お前らはどうして平然としていられるんだよ!?」
男の手は震えていた。
今にも銃を取り落としそうだ。
「知りたいか?」
俺は男の方へ歩み寄る。
顔はすっかり青ざめている。
「やめろ……来るな……来るなぁぁぁ……」
男は何発も弾丸を放つが、俺に近づいた瞬間全て溶けてしまう。
「俺とこいつ、能力者なんだよね」
言い終わると同時に、弾丸の最後の一発も溶けた。
「ぁぁぁぁあぁぁあ……」
男は膝から崩れ落ちた。
なんだっけ。こいつ、クウォロスの指名手配表にあったっけ。あったな、たぶん。
「俺の能力はレーザーを操る能力。普段は目視できないレーザーを周囲に張ってるから、銃弾は熱で溶かされるわけよ」
男は必死で逃げ道を探している。
だが、そんな暇は与えない。
「んじゃ、お疲れさん」俺は手にレーザーの熱を溜め込む。
レーザーを操る能力は、2つの用途がある。
1つ、さっきのように不可侵のバリアを張る。
2つ、レーザーを具現化させ、形状を変える。
「まだレーザーから熱を分解して放射するっていうのはできねーんだけど」
たまった熱を具現化させ、剣のような形にする。
そして、俺はその剣を振り下ろした。
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