煌めきは陰り 少年のリクルート

いつから、少年では無くなってしまったのだろう。漏れなく愛され、夢を見せられた子供時代。俺だけは世界に求められ続けると本気で信じた滑稽さをコレに袖を通した時に思い知った。

地元には暫く帰っていない。自分の過去を同じ目線で歩もうとしてくれた人達は、ただしく年齢順に消えて行った。

今日もまた、大学からの同僚と思い出話をつまみに酒を喉に流す。


「いい加減、リクルートスーツから買い換えろよ。もう新入社員でもないんだから」


同僚は哀れみの目を向けながら言った。居酒屋特有の軽薄な喧騒が耳に絡まる。俺は手からグラスを離し、水滴の散ったテーブルに突っ伏した。くたびれたポリエステルの生地にしがみつく様に、厚くなった自分の肩を抱き締める。


「戻りてぇよぉ」


家族や教師たちに愛されたあの頃に。

この、俺だけを求められたあの日々に。

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