Peaceful Word 〜かけがえのない詩〜

村上紫音

序章 壊れた時計と平和の光

プロローグ -出会い-

「この世界が、もっと優しかったら、こうならなかったのにな...。」

「ずっと嫌な予感がしてたまらなかったけど、それから開放されるんだっけ...。」

「...たとえ開放されなくても、私がなんとかできたら...。」

私はいつも暴言に悩まされ、悩み事がものすごい勢いで増えてきていた。

変な夢みたいな世界だった。早く開放されたかった。そんなときだった。

「...急に目の前が眩しく...!?」

「私に...何が起きているんだ...?」

眼の前が真っ白になって、とても眩しくて、目も開けていられなかった。


しばらくして...


「...きて...起きて...。」

どこからか声がする。それに何だこの感覚。さっきまで立っていたのに、まるでベッドに横たわっているかのようだった。

その声は、次第に大きくなっていく。

「起きて...起きて!」

重くなった私のまぶたをこじ開けようとする。が、びくともしない。

この声の元へ早く行きたいのに...。

もう一度、まぶたを開けようと試みた。今度はうまくいくといいが。

「...!?」

まぶたが開いた。すぐさま、周りを見に行った。

「...ここは...?さっきの声は...?」

「気がついた?」

気がつくと、私は病室の中にいた。そして、私の周りには面識のない人が二人いる。

...なぜだろうか。私は今までに病気をやってしまったことはない。

そして、ここはどこの病院なのだろうか。

「ここはどこ...?」

「ここは『ピースワード調査団』の医務室内よ。」

「『ピースワード調査団』...?」

「ということは、ここは私の板世界とはまた別の世界...?」

「ん...?君はここの世界の人じゃないの?」

「だって、『ピースワード調査団』なんて、聞いたことないもん。」

「あれ...この世界では有名だけどなぁ...。」

「...じゃあ、この世界の住人ではないってことね、姉御。」

姉御...?この二人は姉妹なのか...?

「君たちは一体誰なの...?」

「おっと、紹介が遅れたね。」

「私の名前は『水瀬みなせ はるか』。よろしくね。」

「...私は『水瀬 あかり』。よろしく。」

改めて見ると、なんか温度差が強いなって思った。

一人は明るく、一人は恥ずかしがり屋。個性が溢れて良い集団だなって思った。

まるで、私がいた世界とは真逆だった。

「君の名前は?」

「私の名前...私は...えーっと...?」

なぜだ、なぜなんだ。名前が、思い出せない。

「もしかして、前の世界の記憶があまり残っていない...?」

「そう...みたい...なんで...?」

こんなことは、あり得るのか...?

「今までたくさんの冒険をしてきて、全て一つの曲にしてまとめてきたけど、他の世界からこうやって人が来るのは初めてだからね...よくわからないんよ...。」

「...別世界...もしかしたら、この子病んでるのかも。」

病んでる...?確かに私には病んでいる記憶はあったが。

「そっか...優しい世界がほしいと強く願ったらここに飛ばされてくる、この伝説は、本当だったんだな...。」

言われてみると、そうだった。私は優しい世界じゃないと、生きていくのが難しい、そう、悩んでいた。

「まあ、自己紹介も済んだことだし、君はここに来たけど、帰るまで何してたい?」

「ていうか、そもそも帰れるの?」

...急に話を変えられても困るなぁ。

「君の世界が『平和』で『優しさ』にあふれる世界になったら戻れるんじゃない...?」

「なるほどね。じゃあ次はそこに行ってみるか。」

完全に私忘れられたやん。そう思った。帰れるのは嬉しいけど。

「じゃあ、その世界に行くか。」

「『地球』...。見た感じここにも人間がいるみたいだけど...ここの人間はものすごく凶暴で、哀れな生き物らしい。」

地球...そうだ、私がいた世界だ...。

本当に平和になるのだろうか。これから作るであろう、詩で。

そんなこんなで、地球平和計画が始まった...が、行くとなった瞬間、数々の嫌な予感が背筋を伝う。まさか、水瀬姉妹が死ぬってことはないよね,,,?大丈夫だよね...?と疑ってしまうが、頑張ってみることにしよう...。

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