第2話



 ーー ーー



 生贄に選ばれた人間には贅沢が許される。


 欲しい物はなんでも分け与えてもらえた、やりたい事もなんでもさせてもらえた。

 いつもより豪勢なご飯に、いつもより優しい人達。


 けれど、みなとても申し訳なさそうに心の中で「ごめんなさい」、「ありがとう」と言う。


 村の人達はみなは悪人だったわけではないのだろう。

 心が非情というわけでもない。


 ただ生きたかった。

 ただ死にたくなかった。


 でも、生きるには、死なないためには、皆が笑顔でいる世界では無理だったから。

 誰かが犠牲にならなければならなかったのだ。

 誰かが悲しまなければ、辛い目にあわなければならない。


 これはただ、それだけの話。

 それだけの思いが導き出した、悲しい結果。



 ーー ーー


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