開いている窓から気持ちのいい春の風が吹き込んでくる。

 あまりの気持ちよさに花はちょっとだけ(授業中居眠りをしたのに)眠気を感じた。

「高野さん。話があるんだけど、少しだけ時間ある?」

 放課後の時間。文くんが花の席の隣までやってきてそう言った。

(やってきた文くんを見てきたきたと花は思った)

「うん。いいよ」と花は言った。

 文くんは開いている窓のところまで移動をすると花を見て「あの紙ヒコーキのことなんだけどさ」と言った。

「うん」と花は言う。

「あれはなに?」と文くんは言う。

「紙ヒコーキ」

 花はすぐにそう言った。

「それはもちろんわかるんだけど、どうして紙ヒコーキを僕のところに投げてるの?」

「上手に折れてるでしょ? だんだん上手くなったんだよ。紙ヒコーキ折るの」

 と嬉しそうな顔をして花は言う。

 確かに花の紙ヒコーキはとても上手だった。最初にもらった? 紙ヒコーキに比べると最近の紙ヒコーキはとても上手に折れている。(今、文は花の紙ヒコーキを全部で十個持っていた)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る