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「ミカミ!てめぇ逃げるなぁ!」


セラの叫びにミカミは素直に応じる筈もなく群衆のなかに紛れて消えた。


「くそぉ…。まただ。また逃してしまった…。」


悔しさのあまりセラは目頭を押さえる手が震えていた。


「セラ…ど、どうしよう?シュゴー。」


ソラにタンクトップから、はち切れそうな横乳を指先でチョンチョン突っつかれ顔を上げたセラは驚愕した。

いつの間にか男達に周囲をぐるりと取り囲まれてしまっている。


カシャ

カシャ

カシャ

カシャ


男達の手にはスマホが握られており、耳障りなシャッター音が姉妹の耳にとめどなく聞こえる。

まるで緊急記者会見を開いた有名人のようだ。


「大嵐ソラちゃんだろ?顔を見せてよ!君の大ファンなんだ!」

「ソラちゃん、もうちょい妹とくっついて女の子同士で密着してみて!」

「大嵐ソラは俺の嫁だー!一緒にガキを作ろう!」

「美しいソラ様!付き合ってくれとは言いません。その代わりせめてソラ様の唾を、この僕に恵んでくださぁい!」


ソラを前にして欲望を持て余した男達はジリジリ姉妹に近づいていく。


「この人達、近づいてくる…。もう私達はここから逃げられないよぉ。」


恐ろしさにガタガタ震え舌を噛みそうになっている。


「…まって姉貴、あたしらギリギリのとこでなんとかなったみたいよ。

前回みたいに警察オマワリが鈍臭くなきゃいいけどね。」


ピーポー

ピーポー

ピーポー


ようやくパトカーがソラ達がいる付近に到着した。

2名の警察官はパトカーから降りると、たくさんの男達が暴徒化してもおかしくない無秩序な雰囲気に驚いている。

警察官は通報した姉妹がどこにいるのか群衆の中から姿を確認できずにいた。


「おーい!オマワリさん。ここ、ここぉ!ここだってば!」


セラは背伸びをして警察を呼んだ。


ミカミの呼びかけでソラを目当てに現れた下半身に支配されている男達は、殺虫剤を噴射されて苦しむ害虫のように警察を恐れあっという間に姿を消した。


人集りが消え、パトカーが路肩に停まっているのをソラは目にした。


警察官2名が姉妹に近づいてくる。


「あぅ助かった…。でも、私、もうダメ。」


男達に囲まれていた時、恐怖で身体が強張っていたが、警察官の登場により運良く解放された事で安堵し、その反動で力みが無くなり身体がこんにゃくのようになってしまった。


「姉貴ぃ!?大丈夫かよ?しっかりして!」


セラは姉を抱き寄せようにも手からツルッと滑り落ち地面に顔から倒れそうになったが、警察官が間一髪のところでシャツを掴み、体勢を整えるとゆっくりパトカーへ移動させていった。

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